8:10に噴水前に到着していた清香の案内役を買って出た高見は自分の腕時計をせわしなく眺める。
「(遅い……。進なら時間に1分も遅れずに到着するのに)」
清十郎と清香を比較しながら待ち続ける高見。
針が17分を回ったところで、目の前の栄光橋から全速力で走ってくる誰かがいる。
「………清香?」
走り方がまるで進のようだ…。
と呆気にとられる。
目の前でブレーキをかけた清香は息をあまり乱していない。
『ごめんなさい伊知郎。ラブに捕まってた』
「ああ、あの進好きな女の子か」
納得する高見。
確かに清香の容姿は伊知郎の目にも清十郎と似ているように見えていた。
「大丈夫。職員室に30分だから」
行こうか、と言われ笑顔を見せる清香を見て、微笑む高見。
職員室につき、高見が先に入る。
「失礼します三年の高見です。藤川先生いらっしゃいますか」
高見が眼鏡をかけた優しそうな先生と一緒に出てくる。
「高見君ありがとう。ああ君が清香君だね。庄司先生から聞いているよ。進清十郎君の双子の姉なんだって?」
『はい!』
高見は失礼しますと言い、清香に手を振ると去っていった。
「進清十郎君に似て生真面目かと思ったら元気で明るいねえ」
『清十郎ああいう性格ですから』
藤川先生の言葉に答える清香。
内心で苦笑いをした。
「それでは行こうか。君は進清十郎君と同じクラスだ」
『…………え』
清香の笑顔が固まった。
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