下に降りた清香はキッチンにいた母さんに声をかける。
『おはよう。あれ、清十郎は?』
部屋にいた気配はなかったので、朝練でもう出てしまったのだろうか。
清香はトーストを焼きながら考えていた。
「あの子はいつもはこの時間より少し早いわよ?電車は始発で行ってるもの」
『じゃあ少し私のこと考慮してくれてたんだね。というか、あの子って…子供じゃないんだし』
気にしないといった表情で清香の台詞をスルーした母さん。
トーストにかぶりつきながら今日の学校について考える清香。
『教科書どこで買えば良いと思う?』
「普通学校で貰えるんじゃないの?」
王城高校は私立である。
だから建物も立派で、色々なものにお金がかかっている。
「生徒一人ぶんの教科書代くらい出してくれるでしょ」
『…そっか』
清香は牛乳でトーストを流し込むようにして食べ終わると、歯磨きをし制服に着替える。
「あら。様になってるじゃない」
『その意外だ、っていう露骨な反応軽く傷つくんだけどー』
じゃれあい的な会話をしながら、清香は弁当と水筒を鞄にいれた。
「あなたが帰ってきてくれて、やっと弁当が作れるわ。清十郎ったら植田inゼリーしか昼食で食べようとしないから」
『ああ、あれおいしいよね。清十郎の気持ちは分かるよ』
あれをくわえる清十郎の姿が容易に想像できて、笑ってしまう清香。
無駄なものは口にしない清十郎らしいと言えるが、あれは3秒メシといわれるほど早く食べ終わるはずだ。
『清十郎に私がお弁当作るよ!って脅して弁当を持って行かせるように手配しようか?』
「うーん。考えとくわ」
携帯を開くと時刻は7:00。
『噴水前に8:15。時間ぴったり』
清香は鞄を肩にかけて、玄関に出て行く。
「行ってらっしゃい」
『行って来ます!!』
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