11th down
会場に入ると屈強な男達。

さすがアメリカだ。

日本の、しかも高校生を見ていた清香にとって男達の屈強な筋肉は見ていて飽きないものがあった。

会場内にいるサラと合流する。

サラの隣には、立派な体格の男性。

お兄さんだろうな、と清香は考えた。

「ハイ!キヨカ、紹介するわ。私の兄、ブライアンよ!」

ブライアンは清香の手を握りしめてくる。

「よろしくなキヨカ!君のことはよくサラから聞いていたよ」

清香は握り返した。

『よろしくブライアン!こちらこそサラからよく聞いていたよ』

少し年の離れた兄がいる。

その話は清香の耳にはよく聞こえていた。

『アルマジロズのトライアウト、頑張ってね』

「Thank you!」

ブライアンはぱちりとウインクをする。

こんなところはサラにそっくりだ。

「もうすぐ始まるらしいわ。私達は上から観覧しましょ」

サラは私の腕を引く。

清香はそれに引っ張られながら、ブライアンに対して笑った。

『あなたなら良いワイドレシーバーになれると思うよ!』

ずりずりと引っ張るサラ。

清香はサラに慌ててついていった。

「俺、ワイドレシーバー志望って言ったっけな」

取り残された兄ブライアンの口から漏れた言葉に気づく者はいなかった。


会場の観覧席でサンドイッチを食べながら二人はなんとなく会場内を眺めていた。

すると清香の携帯に電話が入った。

見慣れない電話番号だが、おそらく鈴音のものだろうと清香は感じた。

『もしもし?』

「清香姉っ!今どこにいる!?」

焦った鈴音の声。

ビンゴだったようだ。

『会場の2階の観覧席だけど、何かあったの?』

「セナが!知り合った男の子がトライアウトに間違って参加しちゃったの!」

セナという名前に反応する。

なぜこんなところに?

清香は軽くため息をつくと、鈴音を2階に呼んだ。

清香とサラを見つける鈴音。

会場内を心配そうに見つめる。

清香はサラに簡単に鈴音の説明をする。

トライアウトに参加する兄をさがしているらしい。

サラは他人事とは思えないようで、親身になって話を聞いてくれた。

『ところで、そのセナだけど。小柄な子だよね?』

清香は脳裏に浮かんだ一人のランニングバックと照らし合わせるように尋ねた。

「う、うん!清香姉知り合いなの?」

『ちょっとねー』

清香は当たってしまったなーと頭を抱えた。

セナのスピードなら捕まらない。

それは分かっているんだけど、逆に言うと捕まったら最後という事だ。

妖一に電話しとこうかな、と考えた清香であった。


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