清香とサラはバイクから降りる。
トライアウト会場についたのだ。
『ありがとう!本当に助かりました!』
「感謝するわ、貴方達って本当に親切ね」
「いいってことよ。キュートな女の子を乗せれて俺達も楽しかったぜ」
バイクの男達は粋な言葉を残して去っていった。
『アメリカすごい』
「今更なによ」
サラは清香に一言いうと、トライアウト会場にいる兄と連絡をとるために会場内に入っていった。
清香は同じくバイクから降りた少女に話しかける。
『瀧鈴音って言ってたね。よろしく』
手を差し出す清香。
鈴音はその手をおずおずと握った。
「えっと、日本人ですよね?」
『うん、あ!敬語とかいらないからね』
清香はぶんぶんと手を振った。
アメリカ生活が長い名前にとって敬語はかたくるしく慣れないものだ。
鈴音はすぐに了承した。
「よろしくね清香姉!」
『清香姉……?』
「あ!あたし知り合った人をそんなふうに呼ぶからさ!慣れてよね」
どうやらかなり活発な性格らしい。
清香は苦笑した。
『ところで鈴音はどうしてここへ?』
「兄さんを探しに来たの!」
聞くところによると、アメフトの経験が無いのにも関わらずトライアウトに挑戦しようとしているらしい。
その心意気は素晴らしいと思うよ。
清香は思った。
『そっか、私もトライアウト会場内にいるからさ、困った時は連絡してよ』
はい、電話番号、とメモを手渡す。
鈴音は満面の笑みで感謝を述べた。
いや、鈴音可愛い子。
それじゃあね!とインラインスケートで去ってゆく鈴音。
清香はそれを見送ると、会場内へと向かった。
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