清香たちはキッドと陸、そして西部の選手達に見送られながら牧場をあとにした。
次に乗せてもらったのはバイクの集団。
怖く見えても根は優しい人達なのだ。
『皆さんはどこにいくの?』
男の人の背に捕まり、清香は叫んだ。
風で声が良く聞き取れない。
「バイク乗りが集まる集会があるんだ!その会場まで乗せて行ってやるよ!!」
男は笑って答える。
なるほど。
そこからまたヒッチハイクをしなければならないのだ。
ふと隣を見ると、後ろから上がってきたバイクの背には見慣れない女の子。
しかもアジア顔。
『あの子も連れなの?』
「いや、空港付近で拾ってやったんだ!アメフトのトライアウト会場まで連れてってやるんだよ」
清香は驚いた。
ちょうど私もそこへ行きたかったのだ。
そのことを伝えると、ちょうどいいじゃねえか!と大声を出される。
「ジャパニーズガールだってよ!お前さんもだろ」
『うん、そうだよ!』
バイクのスピードはさらに上がる。
清香は振り落とされないように頑張って捕まった。
横にいた女の子と目が合う。
軽く笑うと、その女の子は驚いている。
そりゃヒッチハイクしたバイクに偶然別の日本人ヒッチハイカーがいるんだもんね。
『あなた、名前は!』
清香は叫んだ。
「私、瀧鈴音!!」
『鈴音!よろしく!私は清香よ!!』
お互いにバイクの上から叫ぶ。
少し車体が離れただけで全然声が届かなくなってしまう。
清香は苦笑し、トライアウト会場まで待とうと思ったのだった。
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