8th down
「ところで清香さん、さっき名前は聞いたけど、名字はなんていうんです?」

キッドは気まずそうにこちらに視線をよこす。

別にいいよ、と軽く笑う。

『とある選手と同じ名字です、なんでしょう』

そう言ってキッドの方を向き笑う清香。

キッドは呆れたようにテンガロンハットを深く被った。

「え、クイズっすか」

『言ってもいいんだけどね、せっかくだし』

陸はこちらを見つめる。

その目がキラリと光った気がした。


「進」


清香は眉をひそめる。

一発目で当てられたことに驚きもあったが、それより陸の目が気になった。

『正解だよ。なんで分かったの?』

陸は腕を組んで軽く微笑んだ。

「雑誌で読んだんで」

そういえば前日も清十郎のビデオを見て遅れたって言ってたっけ。

勉強熱心なんだね。

清香はお手上げというように手を上げた。

『お見事お見事!』

「でも、その雑誌には進清十郎とは兄弟ではないと書いてありましたけど?」

キッドは軽く笑う。

「俺もその雑誌読んだことあるよ。確かに書いてあったね」

どういうことだい?というようにこちらを見るキッド。

キッドは清香が血縁者と知っているだけに、かなり疑問を抱いているようだった。

『あーあれね。実はただの勘違い!』

清香はあっけらかんと笑う。

その雑誌を読んだことがなく、さらに清十郎がアメフトをやっていたことを知らなかったというと、二人は呆れた顔で清香を見た。

「じゃあ、清香さんは進清十郎とは血縁者ってことでいいんですか?」

「ちなみに兄か弟か、どちらかな。歳は同じようだから双子かい?」

陸とキッドは矢継ぎ早に質問をしてくる。

『うん、清十郎は私の弟だよ』

清香は笑う。

「弟のほうがしっかりしてるんじゃないのかい」

キッドはそう言うと軽く笑う。

それに対して陸は笑って頷いた。

清香は少し顔を赤くすると、うるさいなー!と軽く怒ったのだった。


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