清香は老夫婦との別れを名残惜しみながら、牧場で下ろしてもらった。
ちゃっかりと手には電話番号とメールアドレスも貰っていたが。
「あなた本当に誰とでも仲良くなるのね」
呆れて笑うサラ。
清香は照れたように笑うと財布の中にそのアドレスをしまった。
日が沈んできた。
牧場の前でまたヒッチハイクをしようとすると、サラがなにかに気づいたようだった。
清香がサラの指さす方向を見ると、そちらには。
『バーベキューだね!』
「お腹空いてきたわね」
二人は自然に顔を見合わせると、何も言うでもなく牧場へと歩き出した。
「ハーイ!あなたたち!私たちも混ぜてくれないかしら!」
サラがとてもいい笑顔でバーベキューをやっている人たちに叫ぶ。
清香はその顔を見て驚いた。
『サラ、日本人だよ』
「あら、ほんとね」
可愛い……美人だ……と日本人集団がサラを見ている。
清香はその中に見知った顔を見つけた。
『やっぱり』
「来たんだね」
キッドだ。
ここは西部の合宿所だったのか。
そう思いながら奥を見ると、やはり泥門もいた。
「あーー!清香さんっ!」
走って近づいてくるモン太とセナに笑いかける。
『昨日ぶりかな、ちゃんと練習してる?』
西部と泥門の皆は清香たち二人を歓迎した。
座らされるとすぐにお肉を大量に渡される。
『あ、ありがとう』
「ありがとう!美味しそうね」
サラはすぐに周りの皆と仲良くなったようだった。
日本語はあまり話せないが、なんとか身振り手振りでやっているようだ。
お腹がいっぱいなり、ひと心地つく清香。
周りには西部の選手ばかりで、泥門は見当たらない。
西部の選手(井芹洋介というらしい)に聞くと、先ほど馬小屋へ戻っていったという。
それより泥門は馬小屋で寝てるんだね……。
そんなことを考えていると奥のほうでグラウンドに向かうセナとモン太、そしてどぶろくを見つけた。
井芹にありがとうね、と笑いかけて清香はグラウンドへ向かった。
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