1st down
アメリカ行きの飛行機に乗る。


何年ぶりだろうか、14歳の時以来アメリカには行っていない。

今が17歳なので、3年ぶりか。


清香は座席に寄りかかりながら考えた。

横にはアイマスクをつけて寝ているサラ。

やはり日本のベッドではよく寝れなかったようだった。

蛭魔の後ろに座ると、すぐに座席を倒されたので少し顔をしかめる。

『妖一自分勝手だよ』

「うっせ、席余ってんだろ。後ろ行け後ろ」

『分かった』

べーっと舌を出し、サラを起こさないように後ろの席に移動する。

エイリアンズの集団キャンセルのせいで空席が多すぎる。

一番後ろには他のキャンセル待ちの人達が座っている。

少し身体を動かそうと思い、後ろの席の方へ移動する。


移動すると、集団の中で寝ていた人が身じろぎしたようで顔にかかっていた帽子が落ちた。

テンガロンハットだ。

『あ』

落ちましたよ、と言いテンガロンハットを拾って落としたその人物を見て清香は固まった。

「…やあ」

『お、落し物は気をつけてくださいね!』

そう言い見て見ぬふりをして、その集団の中を突っ走る。

トイレのある場所に繋がるドアを開くと、CAルームにいたCAが気づいて清香に声をかけた。

「お客様、なにかご入用ですか?」

『え、えっと、オレンジジュースを』

お待ちください、といって奥に行くCA。

そこはトイレと喫煙室があり、少し開けた場所になっている。

CAの持ってきたオレンジジュースを礼を述べながら受け取る。

そのとき客室とその場所をつなぐドアが開かれる。

「俺はコーヒーを貰おうかねえ」

CAは突然現れた男に驚きながらも、はい!といい用意をし始める。

『やあ、キッド』

「なんで逃げたんだい?別にその必要は無かっただろう」

ドア越しに西部の監督のいた場所を見る。

『監督にはよく思われてなさそうだからね』

「そういうことかい」

コーヒーを受け取ると、喫煙室に入るキッド。

清香はその後を追った。

タバコを吸う人はいないようで、中はヤニの臭いがしなかった。

清香はオレンジジュースを飲みながらキッドを見て笑う。

『テキサス合宿?』

「ああ、監督が代々所有する牧場があってね」

キッドはやれやれといったようにテンガロンハットを深くかぶった。

『次もし戦うのなら、この間の試合のようにはいかないからね』

「ああ、分かってるさ。こちらもすべての手を見せたわけじゃないからね」

清香は目を見開く。

『面白いじゃん、しっかり偵察させてもらうね』

「やれやれ、まいったな」

コーヒーを飲み干すとゴミ箱に紙コップを捨てるキッド。

清香はもう一度CAにオレンジジュースを頼むために捨てなかった。

「それじゃあ、テキサスで会えたらいいね」

『そうだね!私達、ヒッチハイクしながら大陸横断するんだ。その道にあれば牧場も寄るね』

キッドは自分の席に戻ってゆく。

清香はCAにオレンジジュースを頼み、席番号を伝えるとキッドがいる方とは別の列を通り、自分の席に座った。


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bkm



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