家のチャイムを押すと母さんがすぐに出てきた。
「時間通りだったわね。あら、あなたが友達ね!よろしくね」
母さんと父さんと清香は英語がペラペラである。
そのせいか、清十郎も英語がかなりわかる。
英語の成績はかなり上位の方だ。
「ええ!サラ・アダムスというの。よろしくお願いするわ!」
握手をする母さんとサラ。
サラの荷物をうけとり、玄関にあげる。
「サラ、あがって?清十郎がご飯を作って待ってるわ」
「まあ!キヨカの弟ね!早く会いたいわ!」
かなり打ち解けているその二人を見て清香は苦笑いをする。
のんびりの母さんとハツラツとしたサラとでかなり気が合うようだ。
ただいまーと中に入ると、シチュー鍋をミトン越しに持った清十郎がいた。
「おかえり。食事はできている」
清十郎は清香に目配せをする。
『あ、鍋敷きね?待って!』
すぐに鍋敷きをテーブルに置くと、清十郎はシチュー鍋を置き蓋を外した。
ミトンをいつものグローブのように外すとエプロンをほどく。
そこに入ってきたのはサラ。
「あなたがセイジューローね!!」
握手を求めるサラ。
清十郎は驚いたそぶりを見せずに握手を返した。
「清香、手を洗ってこい」
『そうだね!サラとりあえずご飯食べよ』
手を洗わせ、テーブルにつく。
清香と清十郎が隣同士、母さんが清香の前という定位置に座る。
サラは清十郎の前に座った。
『今日のメニューは?清十郎』
「ホワイトシチューにフランスパン、カプレーゼだ」
『なんでそんなにおしゃれなの』
「カプレーゼは、お前の友達が来るということで追加で作った」
ホワイトシチューだけで栄養は足りている、と付け加える清十郎。
『うわ、優しいね清十郎』
「まさか外国人とは思わなかったが」
清十郎をずっと観察しているサラ。
首をかしげた。
「見れば見るほど似てないわね。あなた達双子なのよね?」
『「そうだ」よ』
少し声が揃ったことに驚くサラ。
「そこは合うのね」
いただきます!とホワイトシチューを食べ始める清香。
隠し味の少量の粉チーズとにんにくで炒めた鶏肉が絶妙なバランスでホワイトシチューに溶け込んでいる。
あまり料理は出来ないイメージだったが、練習したのだろうか。
そういえばこないだ、栄養ばかりであまり美味しくないって言っちゃったんだっけ、と焦る清香。
『せ、清十郎!とても美味しいよ!』
「そうか、良かった」
進家にしか分からない清十郎の笑顔が顔に浮かんでいる。
今度まずいと言ったことを謝ろう、と心に決めた清香だった。
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