皆がぞろぞろと帰ってくる。
ミーティングが始まる前に清香はセナと話すことにした。
「あの、ここじゃちょっと」
まもりに正体がバレていないことを思い出した清香。
『わかった。ちょっと待ってて』
清香は試合が終わったばかりの蛭魔に近寄る。
『お疲れ様、妖一。アイシールド21借りるね』
「…分かった」
蛭魔に了承をとった清香。
セナを連れて裏に回った。
フィールド裏の誰も使っていない控え室に入ると、セナはヘルメットをとった。
『どうしたの?私に話したいことでもあるの?』
「あの清香さん。僕、今夢を見たんです」
清香は黙って聞いた。
「パンサーくんや進さんは高みにいて、僕は近づけないんです」
セナはうつむいた。
「倒れていたら、そこに進さんが歩いてきたんです」
『清十郎が?』
「はい、100kgのバーベルと10tの鉛と象を指先に乗せて」
『それはすごいね。清十郎ならできそうだもんね』
セナもそう思っていたのか少し笑った。
「そして夢の中で言われたんです。秋までに強くなれ、勝ちたいのならな…って」
『そっか』
「僕、まるで本当に進さんに言われてるみたいで」
セナの目はまっすぐに清香を捉えていた。
「清香さんに言うのは変なんですけど」
セナは少し下を見た後、覚悟を決めたかのように清香を見つめた。
「強くなります。王城を倒せるくらい、強くなります!」
それを聞いて清香は笑った。
『臨むところだよ!』
「ありがとうございます!」
セナはヘルメットをかぶり直し、少し照れたように笑った。
「なんだか、清香さんと話してると進さんを目の前にしたような緊張感があるんですけど、まもり姉ちゃんと一緒にいる時のような安心感もあって。変ですよね」
清香は少し目を細めて笑った。
『さっきの言葉、清十郎に伝えとくね。あと、セナのその感覚は間違いじゃないと思うよ』
セナと共に控え室を出て、フィールドに向かって歩き始める。
驚いて清香を見るセナ。
「そ、それってどういう?」
『ははっ、秘密だよ!知りたいならセナのとこのキャプテンに聞いて!』
清香はセナに軽くウインクをすると、フィールド上でセナを待つ妖一に目配せをする。
『また会おうね、アイシールド21!』
そういうと駆け足で撤収しつつあるエイリアンズの方へと向かった。
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