後半が始まり、エイリアンズのキックから試合が始まる。
泥門の攻撃に移り、早速スイープが決まる。
『黒木くんと戸叶くん、だっけ。いい感じだね!』
「清香ちゃんもそう思うかい?僕、雑誌に黒木と戸叶は落第って書いたんだけど、謝らないとな!」
アメフトは勝てば認められる。
それはアメリカンドリーム的な考え方をかなり取り入れたアメリカならではのスポーツであるということでもある。
スイープがどんどんと決まり、タッチダウンが決まる。
そのときだった。
エイリアンズ側のベンチでパンサーが土下座しているのを清香の目が捉えた。
そしてその頭に唾が吐かれるのも。
『アポロさん、いつになったら認めるのかな』
スイープに見せかけたパスも決まり、泥門はエイリアンズを逆転した。
清香は先ほどのパンサーがいた場所を見た。
そして目を見開いた。
エイリアンズの皆が土下座をしていた。
『パンサーくん、ホーマー…』
アポロは少し逡巡したが、出場を認めた。
『やっと出られたね、パンサーくん!』
清香の目にはとある光景が移っていた。
「あいつを止めろー!!!」
「パンサー、なんで走ってんだあいつ!」
「清香、俺は…いやなんでもないよ」
「あいつは、ヤマトは、いなくなったんだ」
「清香ちゃん!清香ちゃん!!」
『!あ、熊袋さん、どうしたんです?』
「大丈夫かい?そ、それよりあの20番のデータ持ってないかい!?」
フィールド上ではパンサーがタッチダウンを決めていた。
『パトリック・スペンサー、通称パンサー。NASAエイリアンズの…ランニングバックですよ』
「助かるよ!」
熊袋は解説に戻る。
パンサーの走りを複雑な感情で眺める清香。
セナとの戦いもパンサーが勝った。
『やっぱりまだ見るの少し辛いな。もう大和には会ったっていうのに』
試合は続く。
モン太に投げられたパスをパンサーが走り込み、インターセプトする。
パンサーのランを防ごうとする泥門メンバー。
しかし両面のせいでスタミナが残っていない。
『これで、終わりかな』
残り時間は30秒を切っている。
セナも倒された。
しかし、セナは倒されてすぐに体勢を立て直した。
『まさか』
そしてパンサーの片手もちの右手に向かって光速タックルをした。
清香は目を見開いた。
ファンブルされたボールは空中を舞い、セナの腕の中へ。
『いけ!!!』
最高速度のまま、逆サイドのエンドゾーンへ。
約100ヤードのロングランだ。
ホイッスルが鳴り響く。
清香は立ち上がっていた。
心臓はドクドクと脈打ち、とても興奮していた。
しかしすぐに我に返るとフィールドの下に向かって走り始めた。
『あの疲労の中、あんな走りをして!まだセナの身体じゃ耐えられないよ!』
フィールドに下りて泥門ベンチに行くと、案の定セナは倒れていた。
担架に駆け寄り、呼び掛ける。
『アイシールド21!大丈夫!?』
ベンチ横で慌てているまもりを落ち着かせる。
『まもり、氷のうを5つ持ってきて!』
「う、うん!待ってて!」
まもりの持ってきた氷のうを首裏、脚の付け根、脇の下、ふくらはぎに当てる。
『これでよし。疲労が少しはおさまるはずだよ』
フィールド上ではすでに試合が終わっていた。
結果は31-32で泥門の負け。
セナが勢いよく起き上がる。
『お疲れ様。よく頑張ったね、アイシールド21』
「清香…さん?し、試合は!結果は」
まもりは悲しげに首を横に降る。
『まもり、ちゃんと家に帰った後にもアイシングさせてね』
「分かったわ、伝えとくわね。ありがとう、清香ちゃん」
清香はエイリアンズの方を向く。
そして歩き出した。
「清香さん」
セナ…アイシールド21が清香を呼び止めた。
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