「清香ちゃん!食事でも行くかい?」
熊袋はハーフタイムに食事をとるようだ。
清香はテーブルの上の大量の食料を見て、苦笑いして断った。
飲みかけのコーラを手に持ち、下に下りる。
清香の顔を見るや否や、選手用のゲートを開けてくれた。
『こんなんでセキュリティ大丈夫なの?』
今エイリアンズの方に行ってもピリピリしているだけだと思うので、泥門の方へ行く。
皆でボードを囲んで作戦会議をしている。
臨時コーチ(仮)の清香が言ってもいい内容かどうか分からないので少し後ろで待機しておく。
説明が終わったようでこちらに人形が飛んでくる。
『えっ』
とりあえず飛んできた人形はキャッチする。
その人形は泥門メンバーのミニチュアだった。
「あ!清香ちゃん!ごめんね危なかったでしょ?」
「糞マネ、こいつはこんくらい簡単にキャッチできる」
そういいながらこちらを向くまもりと蛭魔。
『あ、どうも!これ返すね!』
ボードに人形を配置する清香。
「清香さん!ナイスキャッチっす!」
『ありがとう、一応選手してたからね』
蛭魔の方を向く清香。
『なんの作戦で行くつもりなの?』
「…スイープだ」
清香は笑う。
スイープは王城でもノートルダムでもかなり練習したプレーだ。
『今回は臨時コーチとして特別だからね』
清香は人形をすべて規定の位置に並べる。
他のメンバーのつばを飲む音が聞こえた。
『まずスイープはパワープレーだよ。でもランプレーの中でもかなり早く終わるプレーでもある』
「さっきラインが大事って言ったっすよね?それのことすか?」
モン太が質問をしてくる。
『うん。全体的に大きく動くプレーでね。パスや中央突破のランと違ってラインが大きく動くんだ』
「俺らが、止めねぇといけないってことかよ」
十文字は目を細めて呟いた。
『そこ、止めないといけないんじゃないよ。スイープは右か左に大きく動くプレー。ランニングバックに敵を触れさせなければいいんだよ』
「ラインの基本は敵とボールのあいだに身体を入れ続けることだからね」
栗田が鼻息荒く言う。
『そう。力のない選手は寝ブロックって言って、敵の足の上に倒れて一瞬だけ足止めする方法もある。でも、君たちのスピードなら敵を受け流すことが出来ると思うよ』
簡単にそんなもんかな!と清香は笑う。
「さすが、アメリカ帰りですね」
アイシールド21は清香を見て冷や汗を流す。
『そんなことないよ。妖一には借りがあるからね。これくらいしないとね』
少し笑うと蛭魔の近くに寄る。
『パンサーくん、出ると思うよ』
そう言って清香は自分の席に戻り始めた。
「的確なアドバイスだったわね」
「あいつがいる王城に勝たなきゃいけねーんだ。……いくぞ」
蛭魔はヘルメットを被りだす。
それを見て泥門メンバーは後半の準備をし始めた。
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