ヒル魔のキックにより試合が開始される。
すぐに止めることが出来、エイリアンズの攻撃に入る。
ホーマーのロングパスを止めなければ、泥門に勝ち目はない。
『私の言ったプリッツ…じゃなくてブリッツが役立つかな』
清香の言ったとおりアイシールド21は早速ブリッツを繰り出してくる。
しかしラインの力が違いすぎた。
かなり脂肪の多い栗田と違い、エイリアンズのラインマン達は筋肉質である。
はね飛ばされるのだ。
「重さだけじゃない。あまりに強靭な上半身、これがアメリカ人の体格です!」
熊袋の解説に頷きながらコーラに口をつける。
アメリカにいたせいか、コーラはかなり好きな飲み物のうちの一つだ。
十分な時間が稼がれた後、ホーマーがシャトルパスを投げる。
筋肉のあるホーマーならではの高層長距離パス。
スペースシャトルに例えられるのも頷ける。
しかしホーマーのパスに正確性はあまりない。
パスはワットに届かず、パス失敗となった。
ラインのパワーが勝っている以上、ホーマーとワットのシャトルパスは何度でもチャンスがある。
やはり鍵となるのはアイシールド21、セナのブリッツだ。
次のプレーでは三人が動いた。
いつものラインマン4人の他にラインバッカーも動いたのだ。
『懐かしいなー!3人ブリッツなんてアメリカぶりに見たかも!』
泥門7人対エイリアンズ6人。
後ろから突撃するブリッツのパワーも加われば押し負けるのはエイリアンズ。
案の定、右DEの小結が抜けてホーマーにたどり着いた。
『でも、そんなんじゃだめなんだよねー』
小結のタックルではホーマーは潰れなかった。
そのままの体勢で投げたボールはそのままワットの腕の中へ。
「タッチダウン!!」
審判の声と熊袋とマシンガン真田の声がフィールドに響いた。
ここから小結だけでなく十文字もホーマーにタックルするが、それでは通じない。
『やっぱり勝てないのかな』
フィールド上の蛭魔を見る。
こちらを一瞬振り返ったようにも見えたが、すぐにフィールドに目を戻した。
次のプレーはアイシールド21の高速ブリッツ。
ここでホーマーの欠点が出た。
『ホーマー早く投げないと、セナが来ちゃうよ』
ホーマーの欠点は慢心。
ラインであるゴンザレスがブロックをした。
そして自分の力ではアイシールド21なんかにタックルされてもぐらつくはずがない。
この2点がホーマーの自信だった。
一瞬だった。
ホーマーの腕に一瞬で絡みつくセナ。
『よし!!』
発射口を潰されたシャトルは打ち上がることは出来ない。
ボールはホーマーの腕から転がり落ち、それをセナがリカバーした。
ターンオーバー(攻守交代)だ。
アイシールド21は超人的なカットでどんどん曲がってゆく。
そして独走。
タッチダウンだ。
電話がなる。
番号は伊知郎のもの。
“もしもし、清香か。やったな、アイシールド21”
『伊知郎やったね!セ…じゃなくてアイシールド21はやっぱり速いね!』
“進も燃えているようだよ”
『そっか!でもね、清十郎に言っといて。ここからが本番だよ、ってね』
そういって電話を切る。
そう、まだパンサーが出ていないのだ。
パンサーのことを知っているセナはおそらくパンサーを試合に出したいはずだ。
『妖一は出て欲しくなさそうだけどね』
苦笑する清香。
ここからどんどんと泥門ペースになってゆく。
ブリッツの数によりプレーも様々に変わるのだ。
それにすぐ対応する力がなければいけないが、アポロは暗号がわからないようだ。
前半が終了する。
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