清香が目を覚ますと目の前には清潔感溢れる白い天井が広がっていた。
『ここは…』
昨日何をしていたか。
どうやってここまで来たか。
そんなことは覚えていなかった。
少し頭が痛むのに疑問を感じながら清香は上体を起こした。
『清十郎の部屋だ』
殺風景な部屋。
言えるほど清香の部屋にも小物がないのだが。
ドアが開く。
そこにはこの部屋の持ち主がいた。
『あっ清十郎!なんで私ここに寝てるんだっけ?』
「清香」
その一言は、とても低く恐ろしい響きだった。
清香は一瞬で思い出した。
『あっ』
酔っ払う泥門メンバーとエイリアンズメンバー。
目の前に迫るビール缶。
そこからの記憶は本当に、ない。
冷や汗が出てきた。
「お前は未成年だ」
『う、うん。そうだね』
「お前は一通訳だ」
『はい、その通りです』
「お前は王城生だ」
『うん、そうですね…』
清十郎は一度深く大きなため息をついた。
「王城ホワイトナイツとしての自覚を持て」
『はい…でも』
「清香が酒を断れなかったのも知っている」
清香はきょとんとした。
「あの場にいた選手が申し訳ないと言っていた」
『ホーマーかな』
「おそらく」
清香は黙り込む。
清十郎は怒っているが、どちらかというと心配の色の方が見えている。
清香は申し訳なく思いながら清十郎をちらりと見た。
清十郎は清香と目を合わせると、もう一度深く大きなため息をついた。
「…ご飯は大事だ」
『うん』
「下に降りられるか」
『うん、すぐに行くね』
清十郎はドアに手を掛ける。
そして閉める寸前に言葉を発した。
「あまり心配させるな」
ドアが閉まる音が殺風景な部屋に響いた。
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