7th down

NASAエイリアンズが泊まるホテルに到着した。


ロビーではサラが待っていてくれた。

しかし皆の様子を見て、おかしいと思ったのか、部屋に入った後清香にこっそりと尋ねる。

「なにか、あったの?」

清香は一部始終を説明した。


それを聞き終わるとサラはため息をついた。

「あの監督、殴り飛ばしてやろうかしら!!」

清香はそれを止める。

『パンサーくんの気持ちを汲めば、私たちが殴ったらダメな気がして』

サラは立っていたが、腰を下ろす。

「そうね…。それにしてもあなた、色んなことに巻き込まれるわよね。そういう運命なのかしら」

『そうかもね』

清香は笑う。


思い出したようにベッドから立ち上がるサラ。


「忘れてたわ。あなたに言わなきゃならないことがあるの!」

清香は首を傾げる。

はい、と紙を手渡すサラ。

そこにかかれていたのは綺麗な筆跡の、見覚えのあるメールアドレスと電話番号。

「これ、あなたによ」

『これって…』

サラは笑う。

「あら、あんなに毎日のように連絡していた相手のメールアドレスを忘れちゃったのかしら」

清香は目を見開く。

まさか。

『サラ!私、もう彼には会えない!あんなに口論しちゃったし…』

「そうかしら?これを私に託すということは、向こうはそうは思ってないみたいだけど?」

清香はもう一度その筆跡を見つめた。


『…クリフォード』


清香は呟く。


「すぐに電話してあげて。彼、待ってると思うわ」

『だって、私』

清香が反論しようとするとサラは清香の言葉を遮る。

「もうあれから何年経ったと思っているの?ほら、さっさと押す!」

サラは清香の携帯を奪い取ると、勝手にその電話番号を押す。

清香は慌てる。

『や、やめてって!』

「直接会って話すのとどっちがいい?」

『すみません電話です』

サラの一言で清香はうなだれる。

サラがスピーカーをオンにすると、コール音がサラの部屋に響く。

その三回目のコール音の途中に、懐かしい声が響いた。


”この番号はお前だよな、キヨカ”


清香は息を飲む。

そんな清香を見て、先にサラが話す。


「ハイ、クリフォード様。キヨカはここにいるんだけど、あのときのことに負い目を感じてるみたい」

サラがそういうと電話の向こうのクリフォードは笑う。

”あのときのことは気にしてねーよ。俺も悪かったしな”

『でも、私』

”お前に会いたい”

清香の言葉はクリフォードによって再度遮られる。

”電話じゃ伝えられねーことがあるんだよ。お前、アメリカに来てくれねーか”

クリフォードは強い口調で言う。

”いや、そんな言い方じゃ駄目だな。来い、命令だ”


清香は黙り込む。

「クリフォード様、それは言い過ぎじゃないかしら」

サラは清香の様子を見てフォローをいれる。

”言い過ぎじゃねーよ。あのときは俺がお前を守りきれなかった。今はそんなことあり得ねぇからな”

クリフォードは言い切る。

清香はそんな言葉を聞いて笑っていた。

『クリフォードらしいね』

「私ね、あなたを夏休みにテキサスに連れて行こうと思うの」

急に言われた言葉に驚く清香。

『そんなの初耳なんだけど!?』

「あなたとゆっくり話したいし、一週間以上かけて西海岸へ向かうわ」

””そりゃあいい。俺はラスベガスにいることにする。近くに寄るのなら会おうぜ ”

そういって一方的に電話を切るクリフォード。

『サラ、私がアメリカに行くってのはいつ決めたの?』

「今よ」

『ですよねー』

清香はため息をついた。

王城の合宿もあるっていうのに。


『分かった。監督に相談してみる』

「実はね、兄さんがプロに挑戦するのよ。トライアウトを受ける予定だから、一緒に見に行きたくて」

清香は目を輝かせる。

『え、本当に!?なら絶対に行く!!』

サラは子供のようにはしゃぐ清香を見て、くすりと笑う。

「あなた、アメフト馬鹿なのは変わらないのね」

清香な一瞬きょとんとするが、すぐに口元を緩ませた。

『馬鹿は余計だって!』





prevnext

(7/21)

bkm



back(表紙へ戻ります)
top

※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください
×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -