最初にNASA高の選手が乗ったバスがついたのは賊徒大学。
清香はバスから降りると辺りをキョロキョロと見渡す。
あまりこの地域に来たことがなかったので、地形を覚えようと必死になる。
近くには賊徒大学と比べて少し小さめの学校も見える。
『…賊徒高校?』
確か有名な選手は葉柱がいたっけと記憶を照らし合わせる清香。
去年のデータで一年だったから、今年は二年のはず。
ポジションは清十郎と私と同じLB。
ぽんと肩に手を置かれる。
ハッとして振り向くとホーマーが校門の賊徒大学と書いている字を指さしている。
『どうしたの?』
「上の、なんて読むんだ」
「下はuniversityだよね?」
キラキラとした笑顔で尋ねてくるワットをみて清香は苦笑いになる。
『あえていうなら、不良…failure?』
「うわ、不良かよ」
ホーマーは軽く笑う。
『昔の不良っていうか、まあスタイルの問題だよ』
清香の台詞が終わると同時にグラウンドに響き渡る太鼓の音。
びくりと肩を震わせて苦笑いをする清香。
『まあ日本の独特の文化と思って貰えば』
「なるほど!!日本といえばエドのサムライと思っていたけど、これも日本の文化なんだね!」
ワットがパソコンを開き一心不乱に打ち込み始める。
『あ!違う違うそういうことじゃない!なんて言えばいいのかな…!』
ワットに違う知識を植え付けてしまった!と必死に弁解しようとするが、時すでに遅し。
三人が騒いでいると、アポロが清香を向き、手を招いてくる。
「お前は俺の横のベンチに座ってろ。お前等は着替えてこい!」
怒鳴られたホーマーとワットは慌てて裏へ走っていった。
「お前ははしゃぎすぎなんだ。そんなにあいつらと話せたのが嬉しいのか」
『ええ。久しぶりですから』
アポロは横に座る清香を眺めた。
あのとき13歳だった少女は今や17歳。
4年しかたっていないのに随分と大人びたものだ。
アポロは少し笑う。
自分がこの少女のことを気に入っているのなどとうの昔に気づいていた。
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