2nd down
『間に合ったみたいですね』

熊袋はWelcome!とかかれた手作り横断幕を広げる。

ぞろぞろと外国人や日本人が下りてくる。

そこへやってくる一段と大きな集団。

『…アポロさんたちだ!』

次々に下りてくる屈強な男たちに押され気味になる三人。

清香はなんとかアポロたちの視界に入ろうとする。

『あ、アポロさんっ!!』

大声でアポロに英語で呼びかける清香。

乗り込む予定のバスの付近でようやくアポロが振り向いた。

「……キヨカか?」

『はい、お久しぶりです』

葉巻を潰すアポロ。

気遣ってくれたのだろうと清香は考えた。

「日本に戻っていたのか」

『ええ。アポロさんたちに会えると聞いて迎えに来たんです』

少し微笑むアポロ。

「そうか…それはよか」
「お前キヨカじゃねーか!!」

アポロの言葉を遮って清香の目に飛び込んできたのは筋肉…ではなくアメリカのQB、ホーマー。

「久しぶりだな!まさかお前に会えるなんて思ってもみなかったぜ!」

『あ、あの…ホーマー?』

ぎゅうううと抱き締められる清香。

アメリカのコミュニケーションはこれが普通なので別に構わないのだが、ホーマーの肩越しに見える顔が恐ろしい。

『アポロさん、怒ってる』

がばっと振り向くホーマー。

青筋が立っているアポロの顔を見るや否や慌ててバスへ乗り込んだ。

「…ったく」

『あのときのNASA中以来ですね』

「そうだな。お前は黄色猿にしては出来がいいから覚えていた」

清香はため息をつく。

『その言い方、止めてもらえません?』

アポロは清香がこの言い方を嫌うのを思い出したようで慌てて話題を変える。

「今日一日付きっきりなのか」

『はい、通訳として』

「そうか。それは心強」
「キヨカーーっ!!」

誰かに飛びつかれて首ががくっとなる。

アポロの話はまたも遮られた。

『ひ、久しぶりだね、サラ』

飛びついてきたのはサラだった。

少し遅れて飛行機から下りてきたようだ。

清香とサラは互いにハグをする。


もう怖くてアポロさんの顔見れないや。


清香はサラにバレないようにため息をついた。

『あのね、サラ。アポロさんと話してたんだけど』

サラはくるりとアポロの方を振り向く。

「あら、ごめんなさい。でも私との再会の方が大事よね!」

そうだった。
サラはこういう性格だった。

アポロは葉巻に火を付けると深く煙を吐いた。

「バスに乗るならすぐ来い」

そう言うと、皆が乗るバスへ乗り込んでいった。

べーっと舌を出しているサラ。

『サラもバス乗るんだよね?』

「私たちは別のバスでホテルに行くわ。今日の練習試合は参加しないのよ」

ブロロロロとエンジンが聞こえ、バスを見る。

窓でホーマーが急いで乗れ!とジェスチャーしているのが見える。

『ご、ごめん!もう行くね!今日の夜にホテルの方行くから』

「ええ、待ってるわ!」

清香はサラと別れると熊袋たちの元へ行く。

『アポロさんがバスに乗せてくれるそうなので、そちらで現地に向かいます!』

「本当に仲がいいんだね…」

熊袋はくしゃくしゃになったアフロを整えながら呟く。

編集長も行ってこい、とバスを示す。


清香は慌ててバスへ乗り込んだ。





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