アメリカの皆を迎えにいく朝、清香は早めに起きて準備をし始める。
清十郎はすでに出かけたようだった。
今日は休日。
練習はあるが、清香は事前に庄司に休むことを話していた。
昼前に熊袋が先日のスーパーへと迎えに来てくれる。
清香は例のミニバンに乗り込む。
中にはもう一人男性がいた。
『今日はよろしくお願いします』
「進清香ちゃん、本日はよろしく頼む」
少し年配の眼鏡をかけた男性。
「清香ちゃん、こちらは月刊アメフトの編集長ね」
『編集長さんですね、よろしくお願いします』
編集長は少しむすっとしている。
どうもアメリカの態度に立腹のようで。
清香は苦笑いをした。
「ところで清香ちゃんは、名字が進だけども、王城の進と関係があるのか?」
早速清香ちゃん呼びになる。
熊袋から清香の情報を聞いていたのだろう。
実際清香も呼び捨ての方がやりやすかった。
「編集長、清香ちゃんの記事読んでないんですか!?本人は進清十郎君と関係ないとアメリカ時代に言ってるんですよ」
「そうなのか、今清香ちゃんは王城にいるんだろう?すごい偶然だな」
清香は数年前の取材を思い出す。
『えっと、あのとき…清十郎のことを言っていたとは思わなくて』
編集長は振り向く。
熊袋さんは正面を向いて運転を続ける。
空港が見えてきた。
『すみません、実は私と清十郎…姉弟です』
ええええええという熊袋の叫びがミニバンの中に響く。
うるさい!と怒鳴る編集長。
「ききき記事にしても!?」
興奮する熊袋。
『いや、別にいいですけど…』
編集長はため息をつく。
「熊袋、お前は黙れ。それにしても姉弟か…ということは双子か?」
『あ、はい。私が姉です』
熊袋はメモをしたいのかうずうずしている。
「お前は運転を続けろ!アメリカ様の到着時間まであまり時間はないんだぞ!」
駐車場に停め、三人は車を下りる。
ちょうどアナウンスが流れる。
”ヒューストンよりAKU021便、成田空港予定通り到着です”
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