28th down

フェニックス中に選手達が到着したその日、清香はジョンから相手のメンバー表を受け取った。

長距離の移動でくたくたになっていたが、気にしていられない。

「今日もベンチサポート頼むぞ」

『もちろん!』


横からプロテクターを付け終えた大和がのぞき込んでくる。

「この前とほとんど変更はなさそうだな」

『ベンチ要員が変わってるくらいだね』


清香はスターティングメンバーをじっくりと眺める。

『確かここはブリッツを仕掛けてくる可能性が高いんだっけ』

「ああ、奇襲が多かったイメージだな」

ジョンは思い出すように話す。

しかし大和は笑ったままジョンに言った。

「ジョンは移動型クォーターバックだからサックされる前に逃げることができるだろう」

「誉めても何もでねーからな!」



試合が始まる。


大和の言うとおり、ブリッツはジョンにきかなかった。

ランプレーは大和の十八番。

パス要員もノートルダム付属には不足はなかった。


試合は圧倒的ペースでノートルダム付属が勝っていた。


清香はふぅとため息をつくと、タイムアウトをとった相手側のベンチを見つめた。


そういえば知らない選手が一人いたっけ。


清香はメンバー表内のベンチメンバーのプロフィールを見る。

いつもはスターティングメンバーのみにしか目を通さない箇所もしっかりと。


『シュン・カケイ……って、日本人!?』

清香はその名前を見た瞬間に相手側のベンチを見る。

そこには交代しつつある長身の41番の姿。


ラインバッカーで41番で日本人なんて…私と同じだ。


清香はその身長に目を見張る。


大和より大きい日本人なんて初めて見た。


ラストのプレーが始まる。

もちろんジョンは定石通りに大和へボールを渡す。

アイシールド21のランプレーはノートルダム 付属の代名詞となっていた。


次々と相手のディフェンス陣を抜いていく大和。

誰も追いつけないと思ったときだった。


『…カケイ!!』


41番が21番の真後ろにまで迫っていたのだ。


大和は強引に加速して、なんとか振り切りタッチダウン。

清香は安心して胸をなで下ろした。

最終スコアは31対3。


清香はドリンクを用意しにベンチ裏へと回った。



「くそっ、間に合わなかったか…」

「日本語…日本人?」






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bkm



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