フェニックス中に選手達が到着したその日、清香はジョンから相手のメンバー表を受け取った。
長距離の移動でくたくたになっていたが、気にしていられない。
「今日もベンチサポート頼むぞ」
『もちろん!』
横からプロテクターを付け終えた大和がのぞき込んでくる。
「この前とほとんど変更はなさそうだな」
『ベンチ要員が変わってるくらいだね』
清香はスターティングメンバーをじっくりと眺める。
『確かここはブリッツを仕掛けてくる可能性が高いんだっけ』
「ああ、奇襲が多かったイメージだな」
ジョンは思い出すように話す。
しかし大和は笑ったままジョンに言った。
「ジョンは移動型クォーターバックだからサックされる前に逃げることができるだろう」
「誉めても何もでねーからな!」
試合が始まる。
大和の言うとおり、ブリッツはジョンにきかなかった。
ランプレーは大和の十八番。
パス要員もノートルダム付属には不足はなかった。
試合は圧倒的ペースでノートルダム付属が勝っていた。
清香はふぅとため息をつくと、タイムアウトをとった相手側のベンチを見つめた。
そういえば知らない選手が一人いたっけ。
清香はメンバー表内のベンチメンバーのプロフィールを見る。
いつもはスターティングメンバーのみにしか目を通さない箇所もしっかりと。
『シュン・カケイ……って、日本人!?』
清香はその名前を見た瞬間に相手側のベンチを見る。
そこには交代しつつある長身の41番の姿。
ラインバッカーで41番で日本人なんて…私と同じだ。
清香はその身長に目を見張る。
大和より大きい日本人なんて初めて見た。
ラストのプレーが始まる。
もちろんジョンは定石通りに大和へボールを渡す。
アイシールド21のランプレーはノートルダム 付属の代名詞となっていた。
次々と相手のディフェンス陣を抜いていく大和。
誰も追いつけないと思ったときだった。
『…カケイ!!』
41番が21番の真後ろにまで迫っていたのだ。
大和は強引に加速して、なんとか振り切りタッチダウン。
清香は安心して胸をなで下ろした。
最終スコアは31対3。
清香はドリンクを用意しにベンチ裏へと回った。
「くそっ、間に合わなかったか…」
「日本語…日本人?」
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