20th down
セナが目を見開いてパンサーの走りを見ているのを後ろから眺める清香。

「テメェはパンサーに出てほしいと言っていたな」

蛭魔の質問に無言で頷く清香。

「…パンサーの走りを見たいが、見たくないんだろ」

蛭魔の言葉にびくりと肩を揺らす清香。

「分かりやすいんだよ」

『それ、本当のアイシールド21にも以前言われた』

ハッと鼻を鳴らす蛭魔。

「テメェがパンサーの走りを見ているとき、表情が暗すぎんだよ」

『…笑ってたつもりなんだけど』

「走りを見ながらニヤニヤするのも気色悪いんだよ」

『それはそうだね』

困ったように笑う清香。

それを見て蛭魔は静かに言った。

「何があったか知らねーが、エイリアンズの情報をくれたのは感謝してる」

清香は驚いて蛭魔を見た。

『妖一が感謝した!』

再度銃床で殴られ涙目になる清香。

「無理矢理聞き出したことは不可抗力だからな」

『別に…いいよ。私も今回のことで割り切ったし』

蛭魔は黙って壁に背中を預ける。

その目はスクリーンに映るパンサーを見ているセナたち四人に注がれていた。


清香はふと思い出したように言う。

『セナの弱点だけど』

ぴくりと眉を動かす蛭魔。

『折角だから一対一でセナに教えようか?』

泥門戦からずっとアイシールド21のことを考えていた清香。

なんどもビデオを見て、先日清十郎と共に弱点を見つけたのだ。

「…テメェとやるのか」

『私、これでもノートルダム大付属の41番元ラインバッカーなんだけど?』

蛭魔はケケケと笑う。

「試合に出てねーくせに!」

ま、経験はよっぽどセナより上か、と蛭魔はため息をつく。

「いつ、するんだ?」

『その気になればいつでも』

清香は笑う。
蛭魔も同じように笑う。

「テメェが気づいたってことは、進も気づいてんだろ」

『一緒に考えたからね』

蛭魔は一瞬真顔になる。

「夏休みが鍵…だな」

『弱点克服しなきゃ私達には一生かなわないよ』

「言ってくれるじゃねーか!」


動画が終わり、清香は泥門の皆に帰ることを伝えた。

「清香さん!ありがとうございました!」

「あざっした!!」

「またね、清香ちゃん!」

セナ、モン太そしてまもりが清香に一声かける。

清香はそれぞれに手を振った。

部室を出ていこうとしたそのときだった。


「清香、また来い」


去り際にかけられた声。

初対面以来初めて呼ばれた名前。

清香は振り返ると満面の笑みで頷いた。




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bkm



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