「蛭魔さん、プリッツはなんか関係があるんスか?」
モン太がプリッツを食べながら蛭魔に尋ねる。
『ブリッツっていってね』
「まだ早ぇーよ」
蛭魔のマシンガンの銃床が清香の頭にクリーンヒットし、ゴツンという鈍い音が響く。
『え、なんで今私殴られたの?』
「俺には考えがあるんだよ。ブリッツのことはいいからてめぇの知っているアメリカの情報吐きやがれ」
まもりが咄嗟に清香の頭に包帯を巻き始めるのをなんとか抑えて、清香は蛭魔を睨んだ。
『あのときと変わってないなら、QBはホーマー・フィッツジェラルド』
「どんな奴だ」
知ってるくせに、と悪態をつきながら清香は続けた。
『筋肉で投げるパワータイプ。飛距離は凄いけどコントロールはイマイチ』
「蛭魔さんとは違うんスね」
モン太が相づちを打ってくれる。
『日本ではパワータイプはあまりいないかもね。日本ではテクニックタイプかスピードタイプの方が一般的かな。プロでは移動型も多いよ!』
「QBにもタイプとかあるんスか!?」
清香はちらりと蛭魔を見る。
何も言わないということは続けろということだろう。
「私の勝手な区分だけどね。もちろん全てを兼ね備えてるQBもいるよ?」
「じゃあ王城の高見さんはテクニック。蛭魔さんとキッドさんはスピードタイプってことですか?」
セナが思い出すようにして考える。
『そうだね。妖一はボールのスピードだけじゃなくてコントロールもいいからテクニック&スピードタイプかな』
キッドは…と清香は苦笑いをする。
『ボールを投げる速さ、ボール自体のスピード、レシーバーを見つける速さ…全てにおいてトップクラスだね』
おまけにコントロールもいいし…と清香は以前の試合を思い出す。
『あ、でもキッド自体の走る速さは普通だよ?』
清香はセナ…と言いそうになり押しとどめる。
『例えばセ…じゃなくて、アイシールド21みたいな高速ランナーがQBならそれは移動型QBってことになるんだよ』
危ない危ないと清香は冷や汗を流す。
蛭魔に銃口を向けられて、再度蛭魔を睨みつけた。
それをみたモン太とセナは二人で声をひそめる。
「(清香さんって蛭魔さんのこと呼び捨てなんだね…)」
「(もしかしてデキてるのかも?)」
セナとモン太の内緒話に向けてマシンガンを連射する蛭魔。
清香はそれに気づかずに続ける。
『ホーマーがいくらコントロールが悪いといっても、レシーバーはジェレミー・ワットがいるよ』
蛭魔がコイツな、といって動画を見せる。
『でもね、NASAエイリアンズの弱点は』
「監督のアポロだな」
蛭魔は動画を別のものに変える。
『人種差別問題に発展しちゃうんだけどね。とある理由でアポロさんは黒人を使わないんだ』
「だがそれにもかかわらず雑用として進んでチームに残っている黒人が、パンサーだ」
セナとモン太はきょとんとする。
「……パンサー?」
「誰それ?」
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