16th down

東京駅に着き、周りを見渡す。

清十郎には明日帰るって言ってしまっているから、一人で帰らなければならない。

東京駅には何度も来たことがあるのでさすがに迷うことはないが、今帰っても清十郎はまだ部活中だろう。

清香はしばらく悩んだ後、思い出したように携帯を取り出す。

『あ、大和からメール来てる』


メールは後で確認するとして。

清香は本来の目的であるとある電話番号をコールする。


しばらくコール音が鳴り響き、持ち主が出る。


「糞原始人じゃねーか」

『…やめてって』

案の定原始人と言われ、清香はため息をつく。

電話をかけた相手は蛭魔。

泥門を偵察に行こうと思ったのだった。

『今練習してる?』

「今ランニング中」

『…なんで息乱れてないわけ?』

ケケケと電話越しに笑う蛭魔。

電話の奥でまもりの声が聞こえるのでランニング中かはともかく、部活中なのは確かのようだ。

『今からそっち向かうね。練習見ようかなと思って』

「また突然だな。さすがスケジュールを立てない無計画原始人」

『私は妖一のなかでずっと原始人なわけ?』

清香はため息をついた。

ふと思い出したように続ける。

『アイシールド21に会ったよ』

「セナか」

『本物の方ね。分かってるんでしょ?その正体も、どの学校にいるのかも』

電話の向こうの悪魔は黙っている。

「自分の足で情報を集めるなんて古典的だな」

しばらく黙った後に、軽く笑いながら蛭魔が言った。

『さすが、原始人って言いたいの?』

「いや、糞真面目な奴だと思った」

『最初の一文字が余計だね』

清香は笑った。

蛭魔はケケケと不敵に笑った。


仕方ねえなと電話越しに聞こえる声。

「ランニングはまだかかるが、学校にはアイシールド21と糞サルがいるはずだ」

そいつらとでも話してろ、と蛭魔は一方的に電話を切った。


ほら、なんだかんだ言って優しいんだから。

清香は荷物を抱えると泥門の方へ歩き出した。



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bkm



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