結局予定を大幅に繰り上げて帰ることにした清香。
清香を学校内に案内しようとしてやってきたスカウトマンにその旨を伝えると衝撃を受けたように固まってしまった。
しかしなんとか一人分の帰りのチケットは確保できたようで、落ち込みながらも清香を駅まで送ってくれることとなった。
もちろん大和と鷹、花梨も一緒だ。
ヘラクレスはキャプテンということもあり、学校に残った。
「次会えるのは、クリスマスボウルかな」
大和は名残惜しそうに清香の肩を軽く抱いた。
『そうだといいね』
清香は笑う。
「清香さん、また大阪に来てくれ」
鷹は少し口元が笑っているように見えた。
清香はもちろん!と大きく頷く。
「私も鷹君も、もちろん大和君も待ってますから」
花梨からアドレスを書いたメモ帳をもらい、ありがとうと応える清香。
それを見た大和と鷹は思い出すように清香のメールアドレスと電話番号を尋ねる。
新幹線が駅のホームに入ってくる。
清香は持っていた荷物を抱え直すと笑みを三人に向けた。
『それじゃ、またね!』
清香が新幹線の中へと入っていこうとしたときだった。
清香の腕を大和が咄嗟に掴む。
「清香、今度会うときに…大事な話があるんだ」
きょとんとする清香。
大和の奥にいた花梨と鷹も少し驚いていた。
新幹線の乗客に急かされ、清香は慌てて乗り込む。
自分の席にたどり着くと、外にいる大和に向かって清香は口を動かした。
待ってるから!
大和は嬉しそうに目を細める。
それを後ろから見ていた鷹と花梨も笑っている。
新幹線が進みだし、大和は5メートルほど新幹線と共に走る。
三人は新幹線が見えなくなるまで手を振り続けていた。
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