『大和に会えたし帝黒のことを知ることもできたし、予定を繰り上げて帰っちゃおうかなー』
「もう帰るのかい?」
何気なく呟かれた清香の言葉に驚く大和。
まだ半日ではないか。
『スカウトマンには悪いんだけど、入る気なんてさらさらなかったし』
ヘラクレスは笑う。
「帝黒のスカウトマンを利用するなんてそんな強かな奴なかなかおらんで!」
『利用できるものは利用するんだよ。私にアメフトを教えてくれた人の教えでね』
大和は複雑そうな表情になる。
「クリフォードか」
『うん…』
話を聞いていた大和以外は不思議そうな顔でクリフォードの話をする二人を眺めている。
「連絡はしているのか」
『メールアドレスと電話番号消しちゃったから今は音信不通かな』
大和は無表情で清香を見つめた。
「クリフォードのことは忘れたほうがいい」
『…』
「それはクリフォードのためにもなるし、なにより清香のためにもなる」
『分かってるよ』
清香は目をそらす。
清香にとってクリフォードは恩人。
忘れられるわけがない。
しかしクリフォードと関わったことで清香のアメリカでの生活が悪い方へ変化したことは事実。
「清香のことだから、忘れられるわけがないだろうな」
大和の言葉に正直に頷く清香。
『昔の私とは違うから、クリフォードには迷惑をかけない。だからこそ、クリフォードともう一度会いたいっていう気持ちはあるよ』
でもね。
清香は続けた。
『今は、忘れたほうがいいこともあるんだよね』
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