大和はまあいいさ、とでも言うように軽くため息をつくと、思い出したように清香の方を向いた。
「ところで、今どこの学校にいるんだい」
清香は謝りながら応える。
『ごめん、言うの忘れてたね!私は東京の王城高校にいるんだ』
少し離れた場所にいたヘラクレスが意気揚々と近づいてくる。
その横にはスキンヘッドの選手もいた。
ヘラクレスはうーむと考えるような仕草をする。
「王城かあ!ラインバッカーの進清十郎が有名やな!!」
それを聞いた鷹が再度本を開きながら呟く。
「関東の選手はあまり分からない」
「…ラインバッカーか」
大和は何かを考えるように清香を見る。
「どんな選手なんだ?」
『うーん…努力家かな。でも自信家ではない。大和に似ている部分と似ていない部分があるよ』
「会ってみたいな。そして勝負してみたい」
清香はニカッと笑う。
『大和のスタイルと良い勝負かもね』
「今の大和君のスタイルて…超スピードタイプてことですか?」
花梨が不思議そうに清香に尋ねる。
『え?大和のスタイルって言えば…』
「清香、俺のスタイルは日本ではあまり見せていないんだ」
『勝負にならないから?』
「…まあね」
清香は納得したように頷いた。
『でも清十郎は本当の大和のスタイルを引き出してくれると思うよ』
「…進清十郎を呼び捨てにしているんだな」
『それはそうだよ。だって』
「同じチームメイトだしな」
『う、うん。まあね』
本当は弟だから、と言おうと思ったのだが大和が矢継ぎ早に続けたため言うタイミングを無くしてしまった清香。
まあいいか、と楽観的に考えるのだった。
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