『これって…』
次の日、キャプテンであるジョンから手渡されたのはユニフォームだった。
番号は41。
「お前のユニフォームだ」
清香は顔をほころばせる。
『ありがとう…ジョン!』
感極まって泣きそうになる清香の頭をガシガシと撫でるジョン。
痛がりながらも笑う清香。
少し遠くでその様子を見ていた大和が近づいてきた。
「おっと、邪魔者は退散するか」
ジョンは大和に軽く目配せをすると練習へ戻った。
ジョンの代わりに大和は清香の頭を撫でる。
「良かったな、清香!」
『うん、やっと一員になれた感じがする』
「君はずっと俺たちの一員だったけどね」
大和はそういうとグラウンドに目を向けた。
一生懸命に練習する選手たち。
その中に清香も入るのだ。
威勢がよくても清香は一人の女である。
「俺が守らなきゃな」
自分に言い聞かせるように呟かれた声。
大和は嬉しそうにユニフォームを眺めている清香に視線を移す。
そしてもう一度グラウンドに目を戻す。
ジョンと目が合い、ウインクされる。
そしてその口が動く。
”上手くやれよ”
大和は全てを見透かされているような気分になりながら苦笑いをこぼした。
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