鷹は清香の手が離れるや否や大和の方を向き、真剣な表情になる。
それを見た大和も身構えた。
「どうしたんだい鷹」
「清香さんは…帝黒に入るのか」
横にいた清香は慌てる。
それを視界に入れていた大和は残念そうに苦笑して否定するために首を横に振った。
『あ、あのね鷹…ここには大和を探しにくる目的で来たから、入るつもりはなくて。ごめんね』
申し訳無さそうに鷹の様子を伺う清香。
鷹は清香の言葉に出てきた大和という単語に反応した。
「大和と、どういう関係なんだ」
『え?うーん』
清香は鷹に言われた言葉にハッとし、考え込む。
大和とは幼なじみなのだろうか。
いや。幼なじみというほど幼いころからの知り合いでもない。
それでは友達?
いや、ただの友達ではなかった。
もちろん今でもそうだ。
清香は閃いたように大和の腕を掴み、無理矢理腕組みをする。
それに驚いたのは当の大和自身だ。
『私のお兄ちゃん的存在かな!』
鷹はぽかーんとして大和を見る。
本人は軽くショックをうけたような表情になっていた。
「や、大和くん……」
それを見た花梨も話しかけにくそうに大和を覗き込んだ。
その様子に気づくことなく腕を解く清香。
昔を思い出し、なつかしいなー!と呟く。
鷹は軽く花梨に耳打ちをする。
「大和は清香さんの恋愛対象外なのか」
「さ、さあ…」
「鷹、聞こえてるよ」
輝くような笑顔で鷹と花梨の方を見る大和。
それを見て清香は首を傾げた。
『あれ、大和怒ってるの?』
「な、なんで大和くんが怒ってるのは分かるんやろか…」
「…不思議だな」
prev│next
(12/23)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください