昼ご飯を食べながら、清香達はおしゃべりをしていた。
清香がサラの妹のようだ、という話題から兄弟の話になる。
まずはサラが話した。
「私、実は妹なの。少し年が離れた兄がいるのよ」
『お兄さんはアメフトしてるの?』
「ええ。今はテキサスの大学でアメフトをやってるわ。将来はプロになりたいんですって」
清香はハンバーガーにかじりつきながら相づちを打つ。
「俺は弟が一人いるよ」
「ちょっと分かるかも。タケルは雰囲気が兄っぽいわ」
ジュースをすすりながら大和は笑った。
「さて」
「そうね」
清香は二人の雰囲気を不思議に思う。
二人が一斉に清香の方を見る。
「「あなた(君)は?」」
清香はハンバーガーを取り落としそうになる。
はっきりいって言いたくなかった。
それは昔から無意識のうちに感じていた弟との劣等感のせい。
その弟から逃げてやってきたのだ。
『えーっと…』
「言いたくないのかい?」
清香の雰囲気にサラと大和は顔を見合わせた。
「無理しなくてもいいわよ」
「そうそう。別に絶対言わなきゃってわけでもないし」
二人のフォローが逆に辛く感じる。
清香は口を開いた。
『弟、双子の弟が、いる』
サラはとても興味ありげな様子で清香にあれこれと質問を始める。
清香は苦笑いでサラを受け流す。
大和は清香の様子を見て、何かを感じ取ったのか、なにも言わずに黙っていた。
食事が終わり、サラはチアのミーティングがあるといって清香達と別行動をとることになる。
清香と大和は寮へと戻った。
休暇のため帰省している選手が多いので、練習は全く行われないのだ。
清香が自分の寮の前で止まり、入ろうとすると大和が声をかける。
「今から俺の部屋に来ないか」
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