逃げていった女性店員を横目で眺めながら、清香は阿含に言った。
『……うーん。まぁついでだから言うけどさ。名字は進藤って名乗ってたけど、本当は進だから』
いぇいと無表情でピースを作り阿含の目の前に突きつける清香。
阿含のこめかみに青筋が走った。
「去年の王城との試合でてめぇがサボりやがった理由はそれか」
『勘良いね。さっすが』
ちっ…と露骨に舌打ちをする阿含。
「まさか進も双子だったとはな。ということはてめぇと俺は同類ってことか」
『へ?同類??』
あぁ!?と見下ろす阿含。
「てめぇの兄が進なら俺の兄はカス雲水ちゃんだってことだ。てめぇは妹だろうが」
清香は急に阿含を殴りたい衝動に駆られた。
『私は双子の姉なんだけど』
阿含は黙った。
そして爆笑し出す。
「て、てめぇが…進の、姉!?ククッ…弟の方が姉よりよっぽどしっかりしてんじゃねえか!!」
本当に殴り倒してやりたい。
心からそう思った清香だった。
prev│next
(15/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください