王城側側へ戻った清香。
清十郎が少し不機嫌そうなのを嫌々ながら確認すると、ゆっくりと近づいた。
『無事解決しましたー』
「そうか」
少しおちゃらけたが、それも意味をなさずに清十郎に一蹴される。
そんなに怒らないでほしいと思いながら、清香は横目で清十郎を見た。
「秋季関東大会では必ず神龍寺に勝つ」
突然発せられた言葉。
清香は驚いて清十郎を覗き込む。
こりゃ、なにかあったな。
清香は考えた。
一休と自分が話をしている間に誰かが何かを言ったのだろうか。
もしかして、と思い虎吉と話している桜庭をの方を振り向いた。
そして確信した。
『春人はなんて?』
「桜庭は関東最強と当たったことで、いい刺激を受けたようだ」
清香は嬉しそうに目を細めた。
『監督の予想以上ってとこかな』
清十郎は全てを察したような表情で桜庭を見た。
「これから、だな」
『うん、忙しくなるね。巨大弓を完成させなきゃ』
二人は黙り込む。
その沈黙に清十郎の名前に対する信頼が含まれていたようで、清香は目尻を下げた。
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