清香は神龍寺の寮においたままにしてある日用品を買いにスーパーへと出かけた。
『んー歯ブラシに歯磨き粉でしょ?いや、歯磨き粉は兼用でいいかな』
かごに次々と商品を放り込む清香。
今日の特売品を見ると、エノキ一株50円と書いてある。
清香は目を輝かせた。
『何コレ安すぎっ!』
さらにかごの容量が増していく。
レジに運ぼうとすると、スーパーの女性店員が見覚えがありまくりのドレッドヘアーの男にナンパされているのが目についた。
『阿含じゃん…』
見境ないなあ、と呆れてしまう。
近くのレジで精算し、阿含の元へと向かう。
『阿含〜!』
阿含の背に軽く挨拶する清香。
ナンパされている女性は急に話しかけてきた清香に驚く。
「あぁ!?……清香か」
一瞬キレ気味になる阿含は話しかけたのが清香と知ると、女性店員を無視して清香に話しかけた。
「なんだ寮に戻らねえのか」
『転校したんだ、今日から』
はぁ!?と怒鳴られる清香。
「んな聞いてねえんだけど」
『言ってないんだけどな』
清香は自己中心な奴だ…と心底思った。
「あのカス雲水には言ったのかよ」
清香は頭を横に振る。
『阿含にしか言ってない。雲水にも一休にも一言も言ってないし』
それを聞いた阿含の顔が少し優しくなったように見える。
「ちっ…てめぇのこと嫌いじゃなかったのによ。どこに行くんだ。ちょくちょく遊びに行ってやらねえことはねえよ」
回りくどすぎる二重否定を使った阿含に呆れながらも清香は王城と呟いた。
「はぁあ!?王城?なんでだよ。あそこは進しかまともなヤツいねーし」
阿含はワケわからねえと言った表情でサングラスごしに清香を睨んだ。
『…他にもいっぱいいるけどね。逆に清十郎こそ異常じゃない?あの生真面目さ』
阿含の表情がサッと変わった。
「……なんで進のことを呼び捨てで呼んでやがる。あの野郎とお前じゃ接点ねえだろ」
その場にいた女性店員はその声に驚くと逃げていった。
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