阿含から逃げようと急いで踵を返す清香。
そのときだった。
虎吉の罵声が清香の耳に入った。
慌てて虎吉の方に目を向ける。
横には宥めようとする桜庭。
清香は嫌な予感がして虎吉の方、つまりは王城側へと走りはじめた。
ボッと何が飛び出す音と共に、清香の真横を流線型のなにかが通り過ぎる。
後ろを振り向いた。
冷たい目をした阿含。
それを意に介さず見ている一休。
清香は二人を睨んだ。
それを見て満足そうに笑った阿含はそのままフィールドから姿を消した。
その場に残る一休。
清香はちらりと王城側を見た。
流線型のなにか…つまりアメフトボールは桜庭とモン太によって止められていた。
やっぱり虎吉を狙ったんだ。
清香は身震いをする。
もし当たっていたら…。
「ねえ、清香」
年の割にまだ幼さが残るような、しかししっかりとした意志を持つ声が聞こえてきた。
「あいつら、誰?」
清香は視線を王城側に向けたまま呟いた。
『王城のレシーバーと泥門のレシーバー』
言い終わると清香は視線をその人物に向けた。
『やっと話してくれたね』
自分に対してではなく、あくまでも一レシーバーとして、というところが少し残念だが。
『一休』
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