下校時間になり、皆一斉に部室から出て行く。
勿論清香たちもだった。
『電車で帰るんだよね。私、原チャリで来たからさ。また後でね』
清十郎に告げ、高見たちに手を振り、清香は原チャリを発車させた。
「良い子だなあ。進本当に双子なの?」
桜庭は組んだ手を頭に回して進に問いかけた。
「ああ」
「…………それだけ?」
桜庭はずっこける。
横にいた高見が笑った。
「嫉妬してるんじゃないのか進」
「別にそのようなことはありません。別にただ双子の姉というだけです」
饒舌になったなぁと心中思う桜庭。
「まあ美人の部類に入る顔だからね
、清香は」
桜庭は進をチラッと見ながら呟いた。
「………走って帰る」
清十郎は高見と桜庭にそう言うと走り出した。
「動揺してませんでしたか?進」
「…仕方ないんじゃないかな。俺も清香のこと嫌いじゃないしね。さて、進が走って帰るってこと、清香に報告しとかないとな」
「……え?」
桜庭は高見の最初の台詞に戸惑う。
「なんだ?桜庭はそういうのはないのか?」
「俺はジャリプロだからそういうのは法度ですね」
羨ましいです、と続ける桜庭。
高見と桜庭は止めていた足を動かし始め、帰路についた。
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