まっすぐ、まっすぐ。
清香はまもりに言われたとおり、まっすぐ進んでいた。
しかし何かが不安になり、キョロキョロを辺りを見渡す。
『もしかしてこのキョロキョロするのがいけないのかな…とにかくあの島に着けば、また誰かいるだろうし』
そのとき、後ろからドタッという鈍い音が響いてくる。
横を見渡すが、周りには海が広がるだけ。
正面には何もない。
それならば、後ろしかない。
清香は後ろを向いた。
『え…』
清香は阿含を視界に捉えた。
そしてその下で肩を押さえているまもり。
自然と走り出していた。
阿含があんなところで暴れたら神龍寺にも影響が出る。
それの尻拭いをするのはいつも雲水だ。
しかも女がらみならばなおさら。
『阿含、何やってんの!!』
清香は叫んだ。
少しでも意識を分散させるためだ。
そのときだった。
セナが消え、一瞬のうちに阿含の後ろに回り込んだ。
清香は少し安堵した。
これで少しはましになるかな。
もちろん阿含が一瞬のうちにセナの後ろの手すりに移動するのも見慣れている。
さすがに一年以上一緒にいれば、目も慣れるというものだ。
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