アナウンスが風に乗って聞こえてくる。
その方向を頼りに清香は歩き出した。
『まあ最悪、小春に来て貰えばいいかな』
楽観視する清香。
橋の終わりに差し掛かると、向こうの方からセナとまもりが来るのが見える。
どうしたんだろう。
そう思って二人が近づいてくるのを待った。
「あら清香ちゃん、どうしたの?もう試合始まっちゃうわよ」
まもりが慌てて清香に尋ねる。
その横でセナも頷いている。
『それが…迷いまして』
「まっすぐ行くだけなのに!?」
セナは思わず清香に突っ込む。
「(この人どこか抜けてるなあ…)」
そんなことをセナが考えていたなんて清香は知るはずもなく。
まもりに行き先を教えてもらった清香。
とにかくまっすぐ行けば着くらしい。
『ところで二人はどうしてこんなとこに?』
感謝の言葉をまもりに言い終えた後、尋ねる清香。
セナは目をそらした。
何か理由があるのだろうか。
「セナがね、生徒手帳無くしたらしいから探すの手伝ってあげるのよ」
「そそそそうね」
探す気満々のまもりに対して、消極的なセナ。
清香はセナの正体に関わりがあるのかと訝しんだ。
「清香ちゃんは見た?」
『うーん…あまり下の方は見てなかったかも。ごめんね』
謝らないでよ!と笑って返すまもり。
セナとまもりに手を振りながら清香はフットボールフィールドへと再度歩き始めた。
prev│next
(6/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください