大和は誰かから暴行されているかもしれない。
清香は練習後、ジョンにその旨を伝えた。
ジョンは眉根を寄せる。
それを見て清香は感づいた。
『ジョン、知ってたんだね』
ジョンは清香の目を見ずに唇を噛んだ。
「すまない、多少は…な。タケルのことを良く思ってない選手からタケルをやめさせるように言われたこともある」
清香はジョンを睨んだ。
『どうして、私に言ってくれなかったの?』
「日本人だからだ」
ジョンは間髪入れなかった。
まるであらかじめ答えを用意していたように。
「同じ日本人のお前に伝えたら無茶をするかもしれない」
『そういうことじゃない!なんで皆私には相談してくれないの!?何のためのチームメイトなの!?』
ジョンはすまなかったと謝る。
清香はグラウンドを眺める。
大和は…まだ来ていない。
『私、探してくるから』
清香は敷地内をとにかく走った。
しかし見当たらない。
『大和…どこにいるの!?』
寮の裏に回り込んでいるときに、ちらりと見える12番のユニフォーム。
清香は大声を張り上げた。
『何やってんの!!』
その声に慌てて振り向く三人の選手。
壁際の大和は驚いた顔でこちらを見ていた。
その頭からは血が出ていて、清香は顔が青ざめる。
「やべえアイツあのクリフォードと関わりがあるらしいぜ」
もっていた割れたビンを投げ捨てる12番の選手。
44番の選手の言葉を聞くや否や74番の選手とともに急いでどこかへ去った。
清香は追いかけようとも思ったが、目に入るのは血まみれの大和。
顔も腫れている。
「ははっ、ちょっと喧嘩しちゃって」
笑ってごまかす大和。
清香は顔を歪めた。
『大和、私知ってるから』
それを聞いてごまかせないと悟ったのか、大和は真顔になる。
「彼らは選手としてのライバル心を俺に対して持っているんだ」
清香は何も言えなくなる。
大和に対する嫉妬であることは確かだ。
『でも、大和がこんなことされるのはおかしい』
「フィールドじゃないから」
『手は出さないんでしょ?大和の言いたいことは分かってる』
手を貸そうとしても頑なに拒み続ける大和。
それを見て清香は俯いた。
『ごめん、頼って貰いたかったんだけど、私じゃ力不足だよね』
清香にとって自分は頼りにならない、そう感じることはショックなことだった。
私は何も出来ない。
大和のために何かしたくても何も出来ない。
大和は俯く清香の肩を抱いた。
「そんな顔をしてほしかったんじゃなかったんだ、本当に」
ただ…
大和は続けた。
「清香には色々してもらってる。だからこそ、これは自分で解決しなければならないんだ」
『大和…』
「俺がもっと強くなって、誰も文句が言えないくらいになればいい。そのためには、清香に手伝ってほしい」
ハッとして顔をあげる清香。
すぐ近くに大和の顔があり、慌てて離れる。
『大和…私に出来るならなんでもする…!もっとコーチとしての実力をつけるから!』
「それを俺の腕の中で言ってほしかったな」
肩をすくめる大和。
清香は吹き出した。
それにつられて大和も笑い出す。
二人は医務室へと歩いた。
その手は自然と繋がれていた。
ジョンのイメージはNFL西リーグの49ers7番QBコリン・キャパニック選手です。
その選手を若くした感じをイメージしてます。
選手同様タトゥー入ってたらかっこいいですね!
11/22のセインツとの試合でコリンはパスミスし、相手にインターセプトされました。
誰も追いつけない中、一人でQBの位置からエンドライン1ヤード手前でタックルし、リターンタッチダウンを防ぎました。
それを見て、『足が速いQBとかお前はクリフォードか!』と深夜3時に叫びました(笑)
BS1でアメフトがあるのはいいんですけど、深夜は辛いです…。
ちなみに49ers大好きです。
49ersのエースRBは21番です。
まるでアイシールド21みたいですね!
こちらはアイシールドつけていませんが(笑)
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bkm
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