「ところで、今日は家に帰ってくるのか。それともまだか」
清十郎は急に話を切り替える。
清香たちを見比べている三人はキョトンとする。
『あ〜…もう書類出したからね。今日は母さんの手料理が食べられるよ』
清香はにこりと笑う。
清十郎は真顔になって言った。
「俺が作ろう」
「え」
「進が!?」
高見と桜庭は進を凝視する。
「表情変わってないけど、進嬉しいんだなあ」
桜庭はぼそりと言った。
『清十郎は表情に出にくいから』
歓喜とか不満とか…といくつか例をあげる清香。
『でも清十郎の手料理って、味より栄養って感じなんだもん。素っ気ないよ』
ブツブツと文句を言う清香。
怒ることなく納得する清十郎。
「まあそうだろうな。本当の身体を作るためならば仕方ない」
『母さんの手料理は普通に食べるくせにさ。私の料理は食べないよね』
顔を少ししかめる清十郎。
清香の料理は不味いワケではないのだが………。
「高見さん、清香の料理食べたことあります?」
「………一度だけ夏休みに進が弁当を清香の弁当と間違えたときがあってな」
その時に見た、と苦笑いする高見。
「キノコご飯にシメジのソテーにエノキのベーコン巻き、エリンギのホイル焼きが入っていた」
桜庭は納得した。
「清香、栄養が偏りすぎじゃない?ヘルシーだけどさ」
『いや、キノコはおいしいよ』
「そういう問題じゃないよね」
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