『えっと…江ノ島フットボールフィールド…だよね?』
清香は橋の上を見渡す。
観客であろう人々が一斉に動く波に乗り遅れたせいで、道が分からなくなったのだ。
『監督自身から下見は一人で良いって言われたら、従うしかないもんなあ』
昨日、いつものように監督と共に下見に行こうとしたら、監督から止められたのだ。
「江ノ島フットボールフィールドは俺にとってとても思い入れがある場所なんだ。すまないが、下見は一人で行く」
清香はその真剣な表情を見て不思議に思ったが、了承した。
下見に行っていたなら迷わないのに!
清香はそう言い訳をしながら、なおも橋を見渡す。
いつもならここで清十郎が走って迎えに来てくれるのだ。
しかし今は試合開始直前。
そんなことあるはずもなく…
清香は苦笑いをしながらその場に立ち尽くした。
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