4th down
ボーナスゲームが始まる。


泥門の77番栗田が太陽の50番番場を押し返す。

単純な力なら77番の方が上だ。

しかしチーム全体で見れば太陽が圧勝。

泥門のQB蛭魔が21番のアイシールドにボールを手渡す。


ラインの壁は崩れない。


アイシールド21…セナは崩れていないライン壁へ向かって突っ込む。


そして…



『と、翔んだ…?』


アイシールド21の全力のスピードのまま太陽のライン壁を突き破る。

右肩のプロテクターから落ちるアイシールド21。

タッチダウンの声が響き、点数は同点へと。


『す、すごい』


ダイブするなんて、小柄なRB独特のものだ。

もちろんどんな体型でも関係ないのだが、小柄な方がやりやすいのではないのだろうか。

なにより人間砲弾のようなスピードがあったほうが突破力がある。


セナには合った技と言えるだろう。



蛭魔に話しかけるか迷っていると、ぞろぞろと動き出す観客達。


『うわ、忘れてた』


すぐに江ノ島フットボールフィールドで始まる王城対神龍寺。

この学校は江ノ島に近いのだ。



清香はすぐにモノレールに乗って移動した。

橋を渡っていると、後ろから何かが走ってくる。

慌ててそれを避けると…。


「うわあ清香っ、ちょ、ごめんっ!!」


桜庭だ。
暴走していたのは虎吉の車椅子。

清香は苦笑して二人を見送った。


ふとあたりを見渡すと、近くに泥門を見つけ話しかける清香。


『あ、泥門の選手ですよね?さっきの試合見てましたよ!お疲れさまでした』

あまり警戒心を抱かれないようにあくまでも一人の観客として話しかける。

清香の顔を見て驚くセナと少年。

「あ、この間の!王城のマネージャーっすよね!」

少年は律儀に自己紹介をしてくれる。
野球部だろうか、やけにハキハキと答える少年…雷門太郎。

『あ、妖一から聞いたんだね。よろしく、雷門くん』

ジョーモンタナのモン太でいいっすよ!と言われ、苦笑いをする。

「あら、この間試合会場にいたよね?」

泥門のマネージャーの女性から話しかけられる清香。

清香は慌てて挨拶する。

『え、えっと、王城マネージャー兼メンタルコーチの清香って言います!よろしくお願いします』

深々とお辞儀をする清香。

「そ、そんなにかしこまらないで!私は二年の姉崎まもりっていうの。まもりって呼んで?」

二年と言われ、安心する清香。

『私も二年だよ!よかった、初めて同い年のマネージャー友達が出来たよ!』

女子トークが始まり、セナとモン太が近づけない雰囲気になる。


それを見て蛭魔が近づいてくるのを清香は気づかない。

「おやあ?王城のマネージャー様がこんなところで油売ってていいのかなあ?」

蛭魔の声に驚いてそちらを振り向く。

うげえと嫌そうな顔をする清香。

『うう…行かなきゃダメだよね』


清香は泥門の皆にじゃあ!と手を振ると走ってフィールドへと向かった。



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