しばらく経ち、清香がチームの一員としてすっかり慣れてしまったときだった。
『アメフト留学生?』
「そうよ。日本から来るらしいわ」
昼ご飯を食堂で食べながらサラと話す内容は清香にとって驚くべきものだった。
アメフト留学生…たしかMr.ドンが言ってた気がするなあと思い出す。
『いつから練習に加わるのかな』
「今日からじゃないのかしら。やっぱり気になるの?」
『当たり前じゃん!日本人でしょ?』
うきうきしている清香を見てサラは微笑んだ。
「ところでチームの皆とは打ち解けたみたいね」
『うん、サラのおかげでね』
「あら、嬉しいこと言ってくれるじゃない」
事実、サラが清香のことをチームメイトに伝えてくれたおかげでこんなに早く打ち解けることができたのだ。
さすがチアのキャプテン。
「クリフォード様とはあれから連絡し合ってるの?」
『ときどきね。色んなこと教えてくれるから本当に助かってるよ』
いいわねーと手元にあるコーラをすするサラ。
『サラもモテるでしょ?羨ましいよ』
「まあ…確かに色んな人と付き合ってきたけど、なんか違うのよね。ぱっとしないっていうか…」
サラはモテる。
皆から慕われているというのももちろんだが、何より可愛い。
「なにため息ついてるの!私はあなたも可愛いと思うわよ。なんだか、妹みたいで」
『それ、なんか違う気がする』
二人は顔を見合わせてクスクスと笑った。
部活が始まり、清香はキャプテンであるジョンの元へと急いだ。
授業が長引いたため、少し遅れてしまったのだ。
『ごめんなさい!ジョン!』
「キヨカか。いや、ちょうどいい。今からアメフト留学生を皆に紹介するところだ」
そういうと、ジョンは大声で散らばって練習をしていた皆を集める。
ちなみにMr.ドンは数日前に臨時コーチ期間を終え、別の仕事をやっているらしい。
ふとジョンの隣を見ると、とても背の高い癖毛の青年が立っていた。
顔立ちが…日本人だ!
清香はジョンの話を聞くために選手側へと回った。
「今日からアメフト留学のために日本からやってきた、ヤマトタケルだ。皆、仲良くしてやってくれ」
紹介された青年、ヤマトタケルは爽やかな笑顔で挨拶をした。
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