清香は目を見開いた。
『な、なんのこと?』
「双子の弟である俺が気づかないとでも思ったのか」
やけにはっきりとした物言いで清香を見る清十郎。
清香は肩をすくめる。
これは、何を言っても無理そうだ。
『…分かってる。清十郎が聞きたくても私のために我慢してたことも。ここで私が話さなかったらただのワガママだよね』
清十郎は黙っている。
『そのかわりこのことを言ったら、これから私にあまり過保護にならないでほしいな』
話次第だと釘を差すのを忘れない清十郎に内心舌を巻いた。
そして清香は話した。
『清十郎が知りたがってるのはヤマトのことでしょ?そして本物のアイシールド21』
黙って頷く。
『分かってると思うけど、そのヤマトが本物のアイシールド21』
「そして清香が日本へと帰ってきた理由だろう」
急に話し始める清十郎にきょとんとするが、察しがいいのはいつものこと。
清香は笑って頷いた。
『ヤマトを探すために私は神龍寺に入ったんだ』
「……そうだったのか」
清十郎から逃げるためにアメリカへ行ったこと以外はすべて話したつもりだ。
清十郎は向かいのイスに腰掛け、時々意見を述べる以外は大抵黙っていた。
「その…ヤマトは、見つかったのか」
清香は残念そうに首を振る。
『あれだけ凄い選手だから、きっと強豪校に入ってる…そう思ったんだけど』
清香は去年神龍寺にいたときに全国へ行った。
もちろん負けて優勝は逃したものの、数多く試合をしたのは事実で。
『神龍寺が勝ち進んだ全国にはそんな選手いなかった。西の強豪校、帝黒には絶対いると思っていたのに』
清十郎はしばらく考える。
「ヤマトの…歳は」
そこなんだよ!!と清香は清十郎の方へ身を乗り出す。
『アメリカでは歳で判断しないから聞くの忘れちゃって……てっきり私と同い年とばかり思ってた。それか私より年上ね。背は清十郎より高かったし』
清十郎はあからさまに溜め息をついた。
「見かけで判断するのはよくない」
『わ、分かってるよ』
そして、清十郎は無表情で言った。
「そのヤマトという男は年下だろうな」
prev│next
(18/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください