そういえばあの少年の名前、また聞きそびれたな。
そう考えながら廊下を歩く清香。
清香は少し急ぎ足でロビーの待合室で待っていた清十郎の元へ行った。
「話せたか」
『ううん』
どちらともなく歩き出す。
何も言わなくても済むところが双子であってありがたい利点だった。
家に着き、風呂に入り晩ご飯を食べる。
母さんと清十郎は自室へ行った。
リビングには清香一人がいた。
ソファに座ってくつろいでいた清香はふとリビングのマガジンラックを覗いた。
そこにはいつも最新刊の月刊アメフトが入っている。
『今日発売だっけ』
買ってくる母さんも抜け目ないが、すでに読まれた後がある。
ということは清十郎も読んだのだろうか。
『さすがというかなんというか…』
リビングのテーブルにその月刊アメフトを置き、ココアをいれて読み始める。
数ページめくって驚いた。
思わずココアのカップをテーブルにおき、見入ってしまった。
『月刊アメフト杯…NASA高校のエイリアンズとなの!?』
NASA高校、清香がアメリカにいたときに戦った覚えがある。
勿論試合には出ていないが、そこには素晴らしい選手…いや、雑用がいた。
『パンサーくんか』
清香はくすりと笑った。
彼もパンサーくんの走りに驚いていたっけ。
雑用だったパンサーくんが勝負できないことに耐えきれず、彼からボールを奪って独走したのだ。
『アイシールド21より早いって言ったら、パンサーくんとあと…』
もう一人の人物の名前を言おうとして清香は口を噤んだ。
私がアメフトをやるきっかけとなった人物。
そして彼がいなくなった要因をつくったかもしれない人物。
実際に彼を追い出したのは違う人物だが。
『はあ、ヤな気分になっちゃったな。パンサーくんに会えるのは楽しみだけど』
6月6日か…絶対に予定を入れないでおこう。
階段を下りる音がして顔をあげると、ちょうど清十郎がリビングに入ってきていた。
「もう10時だ。寝ないのか」
『こっちのセリフ。明日は一日練習だよ、大丈夫なの?』
「清香」
急に神妙な面持ちになる清十郎。
清香はココアをすすりながらすこし眉間にしわを寄せた。
『な、なに?』
「清香が気にしている人物のことを、教えてくれ」
↓ネタバレ気味
この話中盤の人物がごちゃごちゃしてるので、説明
彼 = 本物のアイシールド21
主人公がアメフトをやるきっかけとなる人物 = 偽アイシールド21より速いもしくは同等の人物 = 本物のアイシールド21を追い出すきっかけとなったかもしれない人物
本物のアイシールド21を追い出した人物 ≠ 主人公がアメフトをやるきっかけとなった人物
つまりこの話中盤で主人公は、三人の人物を思い浮かべていました。
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bkm
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