騒ぎが落ち着いて、清香は皆と今日の泥門の試合のビデオを見ていた。
<うっわ、やっば!>
桜庭の声の後、急にビデオが途切れる。
『…清十郎ビデオ壊したでしょ』
「………」
「なーんで最後まで撮れとらんのだー!!」
庄司の声がミーティングルームに響いた。
清十郎の隣でビクッとなる桜庭。
「しかもこの後デビルバッツ逆転したんだろ?」
3年のDL、上村直樹は呆れながら桜庭に問いかける。
「肝心のトコ映ってないし…」
猫山は同様に桜庭を振り向き見た。
「どうしても自分の目で偵察したいとか言っときながら!練習抜けてまで行ったくせに!なんてザマだ!」
庄司は怒りに震えながら桜庭と清十郎に怒鳴った。
「桜庭!ビデオ係はお前だろ!」
ひっ…、と悲鳴をあげる桜庭。
すぐに言い訳を始めた。
「そ、それがですねショーグン…じゃない、庄司監督。その…急に追っかけが…」
清香はハッとした。
桜庭があんなに追われていたのは、全員追っかけのせいなのか、と。
「いえ、全て自分の責任です」
『(ビデオ壊したからね)』
「自分が現場を放棄しました」
『(ビデオが変になったからね)』
清香は唐突に責任を背負った清十郎の言葉一つ一つに対して心中ツッコミをいれていた。
庄司は黙り込む。
「…進!お前はデビルバッツ戦スタメン落ちだ!!」
清十郎は静かに…わかりました、と呟く。
「ねえ、進…さん?」
『清香で良いよ。私も春人って呼ぶし。で、何?』
桜庭は清香の言葉に笑みを返すと本題に戻る。
「進はいつだって何でも自分で責任をかぶるけどそれは子供の頃からだったの?」
清香は昔を思い出す。
『…うーん。大体家では責任の背負い合いのオンパレードだったかな。私と清十郎で』
桜庭は清香と清十郎の幼少時代を想像してみた。
「(想像できない………)」
「大体お前ら最近たるみすぎだ。そういう精神的な隙が失点につながってくんだ!」
庄司はテレビをバンと叩きながら叫んだ。
『(清十郎なら壊すだろうな)』
「0点に抑えれば1点だけでも勝てる!アメフトで大切なのはディフェンスだ!」
prev│next
(10/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください