その後、練習試合が行われた後にクリフォードと清香は図書館にいた。
「お前はまず英語を覚えろ。簡単な会話だけじゃない、アメフトには専門用語も多いんだ」
清香は必死になって単語を頭に叩き込む。
「しかし驚いた。お前なんでアメフト部に入ろうと思ったんだ。あのとき断れば良かっただろう」
清香は本から目を上げ、クリフォードを見た。
『クリフォードが言ってたでしょ?お互いの文化は共有すべきだって。アメフトのことをよく知ればアメリカのことがもっとよく分かるんじゃないかって』
クリフォードは驚いた顔をすると、一拍おいて笑い出した。
「やっぱお前面白いよ。女子選手としてやっていくのもありだと思うが、お前そんなに真面目ならメンタルコーチとか向いてるんじゃないか」
清香は首を傾げた。
『メンタルコーチ…?』
「ああ。選手を本人とは違った視点から見ることでプレーの可能性を広げるんだ。お前ならそれが出来る気がする」
クリフォードはくすりと笑った。
「しかしこのオレがお前みたいな奴に付きっきりになってレクチャーするとはな…」
早口で言ったため、その言葉は清香には聞き取れなかった。
『え、あの、なんて言った?』
「独り言だ。気にするな」
クリフォードは時計を見る。
そして何かに気づいたように立ち上がった。
「悪い、集合時間だ」
清香は慌てて本を片付ける。
『えと、今日はありがとう』
「構わない。次会えるのはいつか分からねーが、電子メールすればいつでも教えてやる」
清香はクリフォードのメールアドレスが書いてある自分のメモ帳を強く握る。
『うん!』
二人は集合場所まで一緒に歩いた。
「それじゃあな」
そういってバスに乗り込むクリフォード。
清香は最後に大きく大きくお辞儀をした。
それを見たクリフォードは目を細めると軽く会釈をした。
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