後半戦が始まり、そうそうにキッド達はショットガンの陣形を組む。
レシーバーがあちこちを走り、大田原も走ろうとした。
『え…大田原さん!?』
先ほどのミーティングを無視して大田原はキッドをつぶしに行っていた。
それを見て状況を悟ったのか、清十郎も大田原のつくったスペースからキッドの方へと走っていた。
『清十郎まで…!』
「清香、確かに君の言うことは一理ある。しかし無理だと分かっていても出来る限りのことはしたほうがいい」
清香は高見の台詞に頷くしか出来なかった。
案の定、キッドは潰される直前に早撃ちを披露した。
鉄馬が14ヤード前進したところで急にタイムが出される。
それと同時に鉄馬はトイレの方角へと突然走り出す。
『鉄馬くん…どうしたのかな』
清香は心配になり、トイレの方へ向かった。
そこには西部の監督と座り込んだキッドがいた。
西部の監督には王城からのスパイだと思われているので近寄りがたく、遠目から眺める清香。
キッドはそんな清香に気づいた。
「やあ。鉄馬の様子が気になるかい?」
『大丈夫なの…?』
キッドはテンガロンハットを手で弄びながら呟いた。
「良すぎるとロクなことがねーよ。鉄馬も下痢で出れないだろうしね」
『お腹下しちゃったの!?』
「水の飲みすぎだ。ウチの監督がガンガン水飲めって言っちまったせいさ」
ため息をついて監督の方を見るキッド。
『…鉄馬くんがいないなんて、フェアじゃない』
「でも君たちにとってはラッキーだろう」
『そんなことないよ。少なくとも私は、ね』
せっかくの楽しい試合なのに…と肩をすくめる清香。
「やっぱりキミは珍しいコだね。ますます興味が湧いたよ」
始まるようだよ、と清香を王城ベンチへと戻らせるキッド。
「はは…まさか、ね」
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