『よ、妖一…!?』
清香は王城ベンチを抜け出し、メンバーから見えないところに移動する。
「ケケケ、苦戦してやがるな」
清香は肩をすくめる。
『否定はできないね』
清香はしばらく蛭魔を見つめ、思いきって言った。
『妖一はキッドの早撃ち、何秒だと思う』
「0.3秒」
蛭魔は間髪入れずに答えた。
まるで清香に聞かれることが事前に分かっていたかのように。
『…そっか』
このことではっきりした。
清十郎の力で発射口であるキッドを潰すことは不可能とわかった。
それならば鉄馬以外のパスをインターセプトするしかない。
清十郎をブリッツさせない分、パスを絞ることはしやすくなる。
あとは運に任せるしかなかった。
『ありがとう妖一』
清香はにっこり笑って言った。
蛭魔は少し目を背け、口ごもっていった。
「てめぇらには勝ってもらわねーと困るんだよ」
それが本心を隠すものかそうでないのかは清香には分からなかった。
prev│next
(8/21)
bkm
back(表紙へ戻ります)
top
※章内ページ一覧へは
ブラウザバックでお戻りください