パフォーマンスを観客席から眺める。
サラはチームの中心的存在のようで、大声で指示を出している。
『すごいなあ』
清香は自然とそう口に出していた。
日本にはあまりないため、比べるのは少し間違っているような気がするが、さすが本場アメフトというところか。
あのチアがアメフトのためだけに応援をするのだ。
そのことがアメフトというスポーツの人気を表すのには十分だった。
パフォーマンスが終わり、合同練習が始まる。
チアの皆は試合前の今のうちに昼食をとるらしい。
観客席にいた清香を発見したサラはランチボックスを手にして駆け寄ってきた。
「そんなとこにいたの!?ほら、ベンチで見よっ!」
足の腫れも引いていた清香は観客席からフィールドへとおりる。
広かった。
観客席からみる風景とはまた違う。
清香は圧倒されていた。
ノートルダム大付属側のベンチに座ると、サラはランチボックスを清香へと手渡す。
「手製のサンドイッチよ」
『うわー!ありがとう!!』
清香は早速サンドイッチにかぶりつく。
その清香の様子をサラは笑って見つめた。
「あなた、図書館でアメフトの本借りたんでしょ?勉強熱心ね」
『だってルールありきのスポーツでしょ?ルールが理解できてこそ、楽しいんだよ』
「変わってるわね。結構ノリでいけるものじゃない?それとも日本では皆そうなのかしら?」
清香は苦笑いをした。
『まあ日本人だから…ってわけでもないかな。私は根が生真面目だからさ』
清香は血を分けた双子の弟を思い出す。
あの子のほうが生真面目だけど。
そういえばサラにはまだ話してなかったっけ。
「なるほどね、あなたが少し分かった気がするわ」
そういうとサラはフィールドに目を向けた。
「勉強熱心なあなたのためにアメフトのこと、教えてあげる!私が知ってる範囲だけどね」
そういってウインクするサラ。
清香は顔をほころばせた。
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