しかし清香と高見が思っていたようにはいかなかった。
相手側に策士がいるのか、絶対に一人はパス要員を潰せる大田原には多くのマークがついている。
そのせいで清十郎がなかなかキッドに向かってブリッツ出来ないのだ。
『キッド、やるじゃんか』
清香は唇を噛み締めた。
しかし悔しいというよりも、清香は嬉しさを感じていた。
アメリカで経験してきた、勝つか負けるかのギリギリの瀬戸際。
こんな試合ができるなんて久し振りだ。
清香は形勢不利な状況を見て笑った。
タッチダウンの笛がなる。
得点が入ったのは西部。
フィールドゴールも決まり、ボードに7-0の文字が入れられる。
『まさか、先制点が向こうなんてね』
清香はキッドの投げるボール一つ一つを目で追う。
そしてキャッチ時パス要員がどのようなルートを通っているかを記録した。
「清香、どうやらキッドの早撃ちは0.3秒より速そうだ」
清香は頷く。
パスの速さはもちろん、正確さも凄いの一言だった。
攻守交代し、やっと王城がタッチダウンを決める。
フィールドゴールも決まり、7-7となる。
しかし西部の攻撃になり、立て続けに二本のタッチダウンを許してしまう。
大田原のチャージが効いてフィールドゴールを一回阻止したものの、点差は7-20に開いた。
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