その日の夜遅く……
「よし、魁ちゃんとユタ坊は寝たな」
「この神聖なる緋慈華汰を起こして下劣な小饂飩は何をしようというのだね」
「……眠いのに」
小声で話しているのは小饂飩、緋慈華汰、沖の三人だった。
「いやいや緋慈華汰オメェも分かってるだろ。魁ちゃんと仮名が実はピーーーーーってことを」
「そのピー音本当に不愉快です。やめて下さい」
小饂飩の言葉を一蹴する沖。
小饂飩はたじろぎながらも続けた。
「ま、まあ所謂あいつらは両思いってやつだ!」
「従兄弟同士だが、恋愛をしてはならないということには成らないからね」
小饂飩の言葉を分かっていたかのように緋慈華汰は少し笑った。
「……仮名さんとは会って間もないけど、結構色々と抱え込んでるよね。それは分かるよ」
沖はぼそりと呟く。
「あいつら、お互いに従兄弟だからっていう理由で自分の気持ちを押さえ込もうとしてやがる。全くピーーーーーな奴らだぜ」
「小饂飩君、君は本当に愚劣だな」
緋慈華汰からの暴言を軽く笑って受け流す小饂飩。
「この合宿三日間で、あいつらをくっつける」
「ああ、君から言われるまでもなく」
「めんどいですけど、いいですよ」
そうして三人は一斉に頷いた。
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