次にやってきたのはネガティブそうな子。
由太郎が腕を無理やり引っ張ってきたのだ。
「由太郎いいよ、めんどくさい」
発言も後ろ向きだ……。
由太郎と仲がいいということはきっと一年生なのだろう。
とても可愛いのに。
『よろしくね、由太郎の友達?』
今回は私から話しかける。
「あ、えっと……うん」
男の子は気まずそうに目をそらす。
『仮名はなんていうの?』
「……沖草次」
『沖君だね!よろしくね』
そう言って沖君の顔を見るが、沖君は目を合わせようとしない。
やれやれ、これは長丁場になりそうだ。
私は沖君の手を両手で握る。
『由太郎の友達は私の友達。気軽に話しかけてね!』
「う、うん……仮名、さん」
沖君とやっと目が合った。
私は嬉しくて笑う。
『じゃあ私も草次君って呼ぼうかな!いい?』
「い、いいよ」
私の迫力に押された感が多少あるが、草次君はずっと私の目を見ている。
「すっげ!草次が俺以外とちゃんと喋ってる!」
由太郎が目を輝かせている。
そんなにマイナス思考な子なの……。
『魁ともあまり話せないの?』
「うむ、沖への言葉は由太郎がちゃんと伝えてくれるが」
『主将だし、本当はもっと話したいんじゃないの?』
無表情な魁。
核心をついたようで、魁は頷いた。
「すっげえ、魁ちゃんのピーーーーーな表情も読み取りやがった」
横にいた小饂飩君が呟いた。
ピーーーーーな表情ってなに!?
「仮名さん、君には万人と親密な関係になれる素晴らしく恵まれた能力が存在するようだ。この緋慈華汰の目に間違いは断じて無い」
『あ、えっと、ありがとう』
また始まった。
でも緋慈華汰君の言葉をずっと聞いているとなんだか、慣れてくるんだよね。
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